小説 オレと村人。 (※エンゲーブ) 原作をぶっ壊すにしても、「鉱山の街」アクゼリュスまでは出来るだけ原作通りに。 助けられるものは助ける方向で。 因みにライガクイーンは救出ランクSですが何か? 夜道を辻馬車で移動中、オレは眠る襲撃犯からそろそろと離れ、馭者のおっちゃんの横に移動した。 「兄ちゃん、病み上がりなんだろう? その、夜風に当たって大丈夫かい?」 「お心遣い感謝します。ですが、………と共に居る方が悪化しそうなので」 『………』の部分で襲撃犯を一瞥する。 おっちゃんは納得した様で、オレに毛布とフード付きマントをくれた。好い人だ………!! 『中』の家族も、この馭者のおっちゃんには好感を持った様だ。 翌朝。 タルタロスと馬車を見た。 ………あーあ、ローテルロー橋、破壊しやがった………。 流通の要だっつーに………。 「マルクトの陸上装甲艦タルタロスか。………物価と税金が上がりますね」 「…………はあ。お偉方は何考えてんだかな」 「存外、何も考えていないのではないかと」 ここでマルクト領内だと気付いた襲撃犯は慌て、知っていたなら教えろと怒鳴るが、オレを辻馬車に無理矢理押し込んだのは事実なので、おっちゃんは襲撃犯を怪訝そうに見る(その間、オレは終始無表情で無言)。 グースカ寝てる軍人擬きとは自己紹介も何もしてないぜ? エンゲーブ到着。 おっちゃんに礼を言い、馬車から降りる。 確か、食料泥棒のイベントがあったな。まぁ、いいや。 きっちりマントを着込んで村の中へ。買い出しじゃー!! 林檎、超美味そう………! これでタルトタタンとかアップルパイとかシブーストとかコンポートとか作ったら、うちの家族が喜ぶこと必至!! よし、資金はあるし、買いだ、買い!! 蜜林檎の見分け方を知ってるオレは蜜林檎を選んで買う。 ホクホクしながら林檎の詰まった紙袋を抱え、宿屋を探すと。 ………意識的に忘れてた襲撃犯に怒鳴られた。 「勝手に動き回らないでって言ったでしょう!!」 「何故オレが貴様の言うことを聞かねばならんのだ。オレは貴様とは赤の他人の筈だが? それと貴様の大声は、病み上がりのオレにかなり響く。もう少し落とせ」 眉間を寄せ、目を閉じ、蟀谷(こめかみ)を揉む事で頭痛を訴えるジェスチャーをする。 すると、何故だか村人達に、食料泥棒の疑いを懸けられた。 理由はオレと襲撃犯が、見知らぬ者だと言うこと。 フード付きマントを目深に着こんだオレが、林檎を持っていると言うこと。 ………待てコラ。 買った林檎を持ってただけで犯人扱いか? い い 度 胸 だ。 その喧嘩買ったろうやんけ。 そのままローズ夫人の家へ。 オレ達を付き出して、「食料泥棒を捕まえた!!」と騒ぐ。 やりとりを聞いていたが、先刻の事もあるし、売られた喧嘩は10倍返しだ。早速返すか(黒笑)。 「黙っていれば好き勝手に言ってくれる。この林檎は「王道楽土」と言う食材屋で買った物だ。疑うなら店主に訊くといい。それとも何か? このエンゲーブと言う村は、買った物を持っているだけで食料泥棒扱いするのか? それは知らなかったな、友人達に伝えねば。各国の上層部にそれなりに伝えてくれるだろう」 事の顛末を知った家族が、ここぞとばかりに吹聴するだろう。 オレの淡々とした口調に、村人は今更の様にザーッと蒼褪めていった。 「それと、乗っていた辻馬車でマルクト軍と漆黒の翼を見たが?」 「なるほど。私はマルクト帝国軍第三師団所属ジェイド・カーティス大佐です。あなた方は?」 「………ルークだ」 「私はティア。ケセドニアに行く途中でしたが、辻馬車を乗り間違えて………」 無能と襲撃犯が会話を始めた。馬鹿らしくてやってられんぜ。 ちょっとよろけ(たフリし)て壁に手を付いたら、ローズ夫人が心配そうに椅子を勧めてくれた。 好意に甘えて椅子に座る。と。 教団衣の導師イオン登場。 「少し気になったので、食料庫を調べさせて頂きました。部屋の隅にこんなものが落ちていましたよ」 手にあるのは、聖獣チーグルの抜け毛。 知ってたけど。前世知識で。 「………、悪いが御婦人。もし鳩があれば借りれないだろうか。家の者と連絡を取りたい。あと、宿屋を探しているんだが」 心成しか、ローズ夫人も顔色が悪い。 口開いて早々に、オレが毒吐いたからか。 でも事実は事実だからね? 鳩借りれて良かったー。 宿屋へ向かおうとすると襲撃犯がポツリと。 「導師イオンが何故ここに……」 無視して宿屋に。 「も〜イオン様ったら、どこ行っちゃったのかなぁ」 ………スパイが居た。つか仮にも導師守護役だろうが!? 色々無視して宿屋の主人と交渉。先刻のやり取りで、宿代タダ!! てか何でフツーにオレの後に来るかな襲撃犯。 早く『家』に行きたい………。 '12.12.15 [*前へ][次へ#] |