小説 オレと襲撃犯。 (※本編〜タタル渓谷) 非常識な人間と言うのは何処にでも居る。 これはまだまだ序の口なのだ、が(既に胃が痛ェ………)。 7年間。 病弱な振りをして、髭からの剣術稽古を悉く避けていた。 しかし髭はやって来る。ダアトの首席総長ってヒマなの? って訊きたくなる位、やって来る。 「髭がバチカルに向かった」とダアトの家族から事前連絡を受け、その2日くらい前から寝込んだ振りとかしてても懲りずにやって来る。 オレ達は暇さえあれば、『家』で武芸全般(譜術含む)を自主稽古や特訓などで身に付けた。 時には一対多で実践してみたり。 今なら髭沈められるよ? 近況報告。家族が増えた。 ロニール雪山に封印されていた、レプリカネビリム。 彼女を説得と言う名のフルボッコにし、チートな他の音素意識集合体(要はローレライの兄姉)達の協力もあり、家族になった。 ルー達、お子様組の教師である。 そんな彼女から何故か「お姉様」と呼ばれる様になり、家族の証としてオレがC・コアのトゥッティを貰い受けた。 さて、どうやらオレ自身もチートだった様で、何時の間にやらマイソロシリーズの職業全部(術技共に)マスターランクに。 歴代シリーズの料理が(コラボ、アレンジ共に)これまたマスターランク。 チートなローレライに感謝。 『家』にて大絶賛好評中。 お菓子だと、お子様組が更に興奮状態です(笑)。 亜空間にある『家』へ行くには、ローレライとサフィール製の特別な響律符が『鍵』が必要だ。 当然、家族のみが所有。 『鍵』があるから、と高を括ってたのが間違いだった。 何、人ん家(ファブレ公爵家)に第一音素譜歌のナイトメア使って侵入してんの。 兄妹喧嘩は他所でやれや。 他人巻き込むなや。迷惑だろが。 でもって、『外』の病弱設定で、身動き取れない(振り)で兄妹喧嘩を眺めてたオレの方に襲撃犯ぶん投げんな、髭!! 疑似超振動、発生。 現在、夜のタタル渓谷です。 襲撃犯が目ぇ覚まさないうちに、移動しなきゃねー(溜息)。 ((姉上、大丈夫?)) (なんとかね。夜だから、あんまり移動とかしたくないんだけど、んな事言ってらんないし。夜目は利くから平気平気) ―――チッ、あの小娘。再構築されなければ良かったものを!! (はは、同感) 家族と会話しつつ、サクサクと夜の山道を下る。 魔物のサイノッサス、プチプリ、マンドロテンが茂みから出てくる出てくる。 早速マイソロの職業スキル発動。 盗賊スキルのサーチガルドにローバーアイテム、モンクスキルの治癒功と疾空脚を何度も繰り返す。 TPは時間が経てば戻るし。 路銀と食材とグミ確保………と。 お、辻馬車発見。 乗せてもらおうと近付いたら。 「ちょっと! 勝手に動き回らないで!」 後ろから聞こえた声に、思わず振り返ってしまった。 (………汚ねぇな、オイ) ((う、うるさ………)) ―――流石、あの女の子孫。予想以上だ………。大丈夫か? 『中』の二人に大丈夫だ、と言っておく。 無視されているのが不満なのだろう襲撃犯が、泥塗れのまま髪を振り乱し、キンキン声で怒鳴る。 「聞いてるの!?」 「黙れ。病み上がりのオレに、貴様のその声は聞くに耐えん。魔物が来たらどうする。オレは病み上がりだから戦えんぞ」 病み上がり発言、重要だから2回言いました。 言っても聞かんと思うけど。 ((姉上、さっきまで向かってきた魔物倒してたよね)) ―――ルキに刃向かう、根性のあるモノだけだがな (アリィのお友達かもだけど、旅に路銀は必須。で、病弱な振りしとかないと、この襲撃犯に盾にされるんだよ) ((………あれダアトの軍服だよね軍人だよね軍人は自分が盾となって他人を守るってネビリム先生から教わったんだけど)) ―――見事なまでに素晴らしいノンブレスだな、ルーよ。ルキ、我もその様に聞いたが (普通はね。でも、これ以上に阿呆な軍人いるから) 家族が絶句している間に、辻馬車に近付いて交渉。 原作通り、12000ガルドか。 あ、確かロニール雪山で―――。 財布を取り出し、数える。 サーチガルドのお陰で、懐はかなり潤沢だ。 あのペンダント取り戻しイベントは面倒だし、この襲撃犯の為の出費が何よりも嫌だ。 決めた。 「はい、24000ガルド」 「確かに。姉ちゃんも乗りな。この人に感謝するんだな」 「なっ!? 頼んでないわ!!」 「何言ってんだ! 先刻から見てた癖によ! それにこの人、聞けば病み上がりだって言うし! あんたは汚れを落としてからだ!! さ、兄さん、乗ってくれ」 「早く乗って!!」 何時の間にか汚れを落としてきたらしい襲撃犯が、オレを無理矢理辻馬車の中に押し込む。 唖然とする馭者のおっちゃん。 おっちゃん。 その反応は間違ってないよ。 '12.11.15 [*前へ][次へ#] |