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第1話「始まりの夢」
夢を見ていた。
最近同じ夢を何度も見る。
白い龍と真っ暗な空間、ただそれだけがずっと出てくる夢だ。
だが、今日の夢は少し違った。龍が、透き通るように綺麗な真っ白な髪をした青い瞳の少女へと変わったのだ。
少女が少しずつこちらに近づいてくる。口が動いているが、何も聞こえない。突然、少女の後ろから眩しい光が広がった。

そこで俺、音無一哉は、夢から醒めた。
「何なんだ。またあの夢だ・・・。とりあえず起きよう。」
俺がベッドから出ようとしたとき、部屋の外の方から階段あたりから足音が聞こえてきた。時計を見ると七時をちょうど過ぎたところだ。
いつもなら六時半には起きて朝食を作って食べている時間だ。それなのに起きてこないから、妹が起こし(怒鳴り)に来たのだろう。
部屋のドアがノックもされずに妹の怒鳴り声と共に開いた。
「お兄ちゃん!何で私の為にご飯を作らないで寝てるのぉぉぉ!」
妹が俺のベッドにボディープレスさながらに飛び込んできた。
俺は、ベッドから落ちることで避けた。
「うわぁっ!痛って!おまえ、危ねぇだろっ!」
ベッドから落ちた衝撃で少し腰が痛い。
「お兄ちゃんが起きてこないのがいけないんだよっ!私の為にご飯作らないから・・・。」
「しかたねぇなぁ〜。小百合、朝飯作ってやるから下に降りるぞ。」
「やったぁー!お兄ちゃん!下で待ってるから急いで来てねっ!」
俺のその一言を聞くやいなや飛び上がってうれしそうな顔をした小百合が、ドタドタと足音をたてながらさっそうと降りていく。
「はぁ〜。また何かされかねないし、仕方ねぇ、行くか。」
俺も小百合のあとを追って急いで下に降りた。
それから急いで朝食と弁当を作り、朝食を済ませた。そして、鞄を取りに一度部屋に戻ると玄関からさっきまで朝食の味噌汁を飲んでいたはずの小百合から催促の声が聞こえてきた。
「お兄ちゃん、まだぁ〜。早く出ないと遅刻しちゃうよ〜。」
俺はあまりの小百合の行動の早さに驚きつつも、駆け足で階段を降りて玄関に着く。
「お前っ、早すぎるだろっ、さっきまで味噌汁飲んでたじゃねぇかっ!」
「私は日々進化してるんだよ?」
「何で疑問型なんだよ!ってか、早く行くぞっ!」
そして俺は、ドアを開けて学校へと向かう。
今までの日常が今日から崩れさっていくとも知らずに・・・。
つづく


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