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雑談日和


羽生と遥




















「………なんだ今日は、」


ぎしりと安っぽい音を立てた回転椅子。

それに脱力し羽生は寄り掛かる。


ぼそりと平和だと呟いた。



「ちょっとヒマなら手伝ってよ」

「何をだ」

「…あたしの始末書」

「………」


がらがらがら、

「わっ!びっくりした!いきなり隣に来ないでよ!」

「お前…これ全部お前のか?」

「なによ、文句ある?」

「大有りだ。ほら、そっちの束を寄越せ」


「うわ…なに?何が目的?言っとくけどあたしお金無いわよ」

「誰がお前に奢ってもらうんだ。相当可哀想な奴だぞ」

「…じゃあ何よ」


「ヒマだ」

「いいじゃないあたし達がヒマならそれは平和って事よ」

「…そうだなぁ」

「アンタ大丈夫?頭おかしくなった?」

「そうかもなぁ」

「………」



暫くの沈黙。
紙と紙が擦れ、ボールペンが線を作り、溜息と共にそれが離れた。


「…おい」

「…まだ有るわよ」

「………お前先週誕生日だっただろ」

「……それが?」

「おい、これは?」

「あー…えっと、ほら、前にあった殺人の」

「犯人一晩中説得してたやつか」

「うん」

「…何枚有るんだ、始末書」

「いっぱい」

「…いっぱい、ねぇ」

「うん」

「今日」

「うん?」

「メシ」

「いく」


羽生の動きが止まり、少々驚いて遥を見る。


遥はそれを見て笑い、

「アンタってほんと回りくどい男ね」

終わり無く積み上げられた書類の山を、半分彼の方に分けた。


「…今日の俺はおかしいんだろうな」

「そうね」

「平和だからだよなぁ」







「…そうかもね」






きしり、





回転椅子の鳴き声が、

少しだけ 近付いた。











END.


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