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イエロウ・パーカーD
古着屋での2人の会話。













「…やっぱり!久しぶり弥勒院くん!」


朱は明るくそう言って弥勒の肩を叩いた。

弥勒は少し驚いた様に朱の顔を見たが、直ぐに怪訝そうに眉を寄せた。



誰だコイツ、という反応だ。


「あ、覚えてないかな。高校で同じクラスだった大沢サキ。ほら、弥勒院くんよく沖村くんと一緒にいて…」


沖村、という名前を出すと、弥勒は警戒を緩めて朱の顔をまじまじと見た。


「あー…、ごめん。顔思い出せ無い」


朱のでっち上げなので当然なのだが、朱はすかさずにこりと笑って見せた。


「いいよ。そんなに話した事無かったし…ところで、」


朱は先程弥勒が睨んでいたパーカーを指差した。


「買うの??あれ」


綺麗な色だとは思うが、弥勒には似合いそうに無い。

弥勒はうーんと唸って目を細める。


「いや…何と無くい…沖村っぽいなぁと思っただけ」


??…なんだか嫌な感じがする。


弥勒は真剣に悩んでいるようで、それきり会話が途切れてしまった。


朱の頭の中で、さっきの探偵のにやり顔が浮かんで消えた。


「………」


「やっぱ止め…」

「買いましょう!」

ぴしゃりと言う朱に、弥勒は驚いて彼女を見た。


朱はしまった、という表情をして「いえ…」と取り繕う。


「良いと思いますよ、それ」

「そうか…??」

「きっと沖村くんに似合います」

「………」

それにその色はまるで、















「………わかった。そんなに勧めるなら…」



弥勒は店員を呼びに、レジの方へと歩いて行った。




朱は小さく舌打ちをして、相変わらず壁にあるイエロウに毒づいた。



「…探偵の挑発ってヤツかしら??…まったく」









それから、生王の元を弥勒が訪れるのは…少し空いた3日後の事になる。









《続く》


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