イエロウ・パーカー@
あるライターの場合。
「似合って…ますよ?」
何故か疑問系で伊綱はいい、にこりと笑った。
「伊綱くんお世辞苦手だよね」
「いえいえ!合ってます!すごく生王さんぽくていいですよ!それ!」
生王は ふうん、とイマイチ納得出来ないように唸って、自分の着ているパーカーを見た。
神々しい程の、イエロウのパーカーだった。
腕の部分には、生王の髪の色よりずっと濃い茶色の線が入っていて、デザインはまあそれほど悪くは無い。
「でも珍しいですね。生王さんがそんな明るい色の服を着るなんて」
「んー…これ、ミロクがいきなりくれてさ、お前に絶対似合うからって」
「………」
「あ、伊綱くん紅茶ー」
「…わかってます。今出しますからその辺にでも座っててくださ」
生王の後ろに回り込んだ伊綱は、驚いた様に言葉を切った。
「………」
「伊綱くん?」
不思議がる生王の顔を見て、伊綱は ぷ、と吹き出した。
そのままくすくすと笑っている。
「な、何?やっぱりこれ変なんだね!?」
「ふふ、ダメです生王さんっ、脱がないで下さいよ」
伊綱は生王の肩を掴むと、強引にソファーに座らせた。
生王には何が何だかサッパリわからない。
「紅茶入れてきます。生王さん」
先程以上の笑顔で伊綱は台所へ向かっていった。
「…何なんだ、一体」
天井を見上げてぽつりと呟いた声は、彼女には聞こえていない…。
《続く》
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