コンビニレジ
コンビニエンスストア、レジスター。
「あ」
正面に目を向けた瞬間に気付いた。なんて言うのかなぁ、あの人は何処に居ても直ぐに見つかる。
声を掛けようとも思うが、止める。
(だって見てくださいよ、あの言動)
店内をペットボトルのお茶と雑誌片手にうろうろうろうろしてる。さっきいたオニギリコーナーから今はお菓子コーナーへ。期間限定のポッキーなんか手に取って、弱いんですね。限定商品。
とりあえず私も買い物をしよう。この狭い店内なら、直ぐに見つかってしまうけど。
お茶、雑誌、レジスター。
「あ、伊綱くん」
茶髪の頭が此方を向き、手を上げてへらりと笑った。
「…何してるんですか」
「??買い物…だけど??」
まあ、そうですね。
「買うものってそれですか」
「うん…まぁ」
「なら早くレジに並べばいいのに」
生王さんはうーんと唸って、
「まだ昼食が決まって無いんだよね」
だったらお弁当コーナーに行きなさい!!
「カップ麺にするかお弁当にするか」
「そこからですか」
生王さんは本気で悩んでいるようだが、キョロキョロする仕草は何とも怪しい。
「じゃあ今日はお弁当にしてください」
堪り兼ねて適当に決めてあげると、
「…うん、そうだね。そうする」
あっさりとお弁当の棚へと歩いて行った。
私の手にはカップ麺。最近食事ってこんな感じだ。
レジに並んで待っていると、
「伊綱くん」
「はい??」
「幕の内とカルビ、どっちがいいかなあ」
……………。
私は幕の内を彼の手から奪うと、自分のカップ麺と一緒にレジに出した。
(彼がちゃっかりお茶も出そうとしているのを睨んで止める)
外は曇り空だった。
「…380円です」
「…あー…、はい」
400円受け取り、20円を返す。
「じゃあ生王さん」
私は事務所の前で彼に挨拶して別れようとする。
…って、
「…何でついてくるんですか」
扉の前で一応聞いてみる。
生王さんは少し照れた様に笑い、
「食べる場所を決めて無かった」
と言った。
蓮都:ダメダメな生王さん希望です。
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