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街を照らすいろとりどりのイルミネーション。
赤、青、白く光るクリスタル、ちかちかついたり消えたり。

今日もうちの学校は授業があったので、今は帰りの寄り道中。
明日からようやく休みになる。休みといっても毎日のように幸村と遊ぶだろうからあたしにとっちゃほとんど何も変わらないのと同じだけど。
とりあえず明日のクリスマスは幸村とお泊りで、プレゼント交換したい、っていうからあたしも幸村に渡すプレゼントをね。
その本人と贈り物を選び中なのだ。
あたしはこっそりさっさと買ってしまったけれど、なかなか決まらないらしく、片っ端から店を渡り歩いている。

「うーっ、あと一歩足りないのっ」

「そんなに悩んでくれてありがとう」

店を出るたびに、そういって悔しそうに悶える幸村はかなり可愛い。
たったひとつのプレゼントにそこまで悩んでくれるのって、嬉しい。しかも誕生日でも記念日でもなくて、まったく関係ないキリスト様の誕生日に。

「てきとーに選んじゃってよ」

「うん…。ごめん…」

遅くて…って逆にしゅんとしちゃった。
あんま頑張って考えなくていいよ〜って意味だったんだけど…。

「ちょっと休憩しよ?」

「えっ、」


ぎゅっと手を握って、スタバにひきずってく。

ぶうぶう口を尖らせていたけど、結局甘いフラペチーノを注文してよろこぶ幸村。
時間は6時をまわったところで、ひともまばらで座ることができた。

「時間ないのに」

「まァいいじゃん。つうか明日、幸村と居られるならプレゼントとかいらないよ?」


我ながら砂でも吐きそうな台詞だと思った。
アイスココアをストローで吸い上げる。じわじわ広がる甘味と比例して、目の前の幸村の顔がかあっと赤くなった。

「政宗様、ずるい…」


いちいち可愛い幸村のほうがよっぽどずるいんだけど。
それは思うだけにして、笑って受け流してやったら、また頬っぺた膨らましてすねちゃった。



それからもう一度、街に出て、あたしが好きなアクセサリーショップに行った。いつか幸村と来たいと思ってた場所。


「これ可愛い…」


ネックレスのたくさん掛けてあるコルク。
幸村が惹かれたらしいそれは、当の本人によく似合っている。赤い木の実を連想させる小さなペンダントトップは、シンプルなわりに存在感がある。

「これ、お揃いにしたいな。そしたらプレゼント、もう選ばなくていいじゃん」

「いいの?」

花開くように笑う幸村。
チェーンの部分が色違いでシルバーと、すこしピンクがかったのもあることだしちょうどいい。
でも値札を見たら少し高め。幸村にこれふたつを払わせるのは悪い気がして、あたしが勝手にレジへ持っていく。

「ちょっと!政宗様が払ったらわたしのプレゼントにならないよ」

「いいって。これ見つけてくれたことが贈り物ってことで。ね、」

自分で言ってることがはちゃめちゃだ、今日は。
クリスマスイヴってことで許してほしい。
これでもあたし社長令嬢だから金だけはあんの、甘えときなさい。


さっそくふたりでネックレスを付けて手を繋いだ。腑に落ちないという顔をしていた幸村も少し機嫌よくなったみたいでよかった。
マフラーとワイシャツの襟元でかすかにガーネットがちらつく。

あたしにまた宝物が増える。
こうやって世間と同じように流されてはしゃいで、幸村と過ごすたびに大切な物が増えるのが、どうでもいいイベントの中で唯一の醍醐味。

別れ際、暗闇に紛れてキスをした。







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