短編
1
―君は今何をしてるのかな?
僕を忘れてはいないかな?
忘れてしまっていても…きっと大丈夫
僕が君を愛してるから…きっと。
ふと、筆を握る手を止めた。
見上げるとソコには呆れる程に広い空。
自分のスケッチブックには、一面を使って描かれた君の笑顔。
自分でもバカだと思う…何年も前に見た一夜の夢などに恋をするなんて
…馬鹿らしいけど、止められないのは君の事を本当に愛していたからだろう
この小さな世界の中で誰も知らない。
小さな奇跡があったこと
君が僕の前にいたことすら…誰も知らないのだから
だから、愛してると言うくらい、許される筈だよ
君が黒猫として、嫌われていたとしても、僕だけは君を愛してるから
君だけが、僕の生きる道なんだから
狭い病室も堪えられる。
こうして、君に似た黒猫を見ることが出来るから
…だから早く、迎えに来てね?
天国に逝くまでに、必ず
待ってるから
このちっぽけな世界の中で、僕は誓いを海に流した。
君をずっと…待ってるから
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