ピロートーク
後処理も程々に、イタチとサスケはベッドへと寝転んだ。男二人では多少小さいベッドだったが、肌身をくっつけている二人にとってその狭さはあまり関係が無い。イタチの腕枕に頭をのせたサスケは、ゆっくりと体を預けてイタチに擦りよる。少し恥じらいながら体を寄せるその仕草は何ともいじらしく、可愛らしい。
先程までしていた行為の激しさとは対照的に、甘やかな雰囲気が二人を包む。イタチは腕枕をしている腕の方の手でサスケの髪をいじりながら、今日のサスケはやけに積極的だったなどと思い返した。『もっとして』なんてねだりながら足を開いたサスケと言ったら、いやらしすぎてある意味目の毒だ。思い出すだけで再び体が疼いてしまいそうになる。
「兄さん、何考えてんだよ」
「どうした、いきなり」
「何か考えてる顔してた。俺にはわかるぜ」
「…いや、今日のお前はやけにノリが良かったと思ってな」
「そ、そうか…?」
別にいつもと変わらないけど、と照れだしたサスケはイタチに隠れるように顔を埋めた。そんなサスケの姿を見たイタチは、その可愛さ故に口元を綻ばせる。イタチは、サスケの素直じゃない言葉とは裏腹に甘えたがりなところがあるのを知っている。そういえば最近は忙しく、若干ご無沙汰になってしまったためサスケも寂しかったのかもしれない、とイタチは思った。そして、何も自分に気を遣うことはないのに…と。
「少し日が空いたから、お前も溜まっていたんだろう。すまなかったな」
「…だって兄さん忙しそうだったから、疲れてたら悪いと思ったんだ」
「そんなことはない、お前が甘えたい時に俺が応えられなくてどうするんだ」
「…でも」
「何もしないより、サスケが甘えてくれたほうが余程嬉しいよ」
イタチの言葉に、サスケの体がピクンと反応した。サスケがおずおずと目を合わせると、やはりいつも通りの笑みを浮かべるイタチがいた。どうしてこうも簡単に甘い言葉を吐けるのだろうと思う。自分は、どきどきと高鳴る鼓動がイタチに聴こえやしないかと必死なのに。
素直に甘えられる性格だったらどんなによかったか…と悪態を付きたくなったサスケであったが、逆にイタチにあからさまに甘えてみたらどんな顔をするだろうと考えた。と言っても唐突に、自分らしい甘え文句のひとつやふたつ口に出すのも、サスケにとっては躊躇われる。それでも、少しでも自分の存在がイタチのためになれたらと、常日頃感じているのには変わりがない。
「サスケ、汗かいただろ。シャワー浴びないのか」
「今日はもういい。明日シーツと掛け布団洗うからこのままでいいんだ」
「…一緒に風呂へ行こうと思ってたのに」
「どうせまたやらしいことするつもりだったんだろ!」
「それは…どうかな」
首を傾げてあしらったものの、実際はサスケの言う通り邪なことをしようとしたイタチである。だが、今日はサスケに無理をさせてしまったとイタチは少なからず感じていた。とりあえず今回は妥協することにし、サスケを抱き締める。先ほどより汗は引いたのか、しっとりと互いに合わさる肌の感触が心地好い。するとサスケも、イタチの腕の中でぴっとりとくっついた。
「兄さん、あのさ…」
「どうした」
「そんなに甘えてほしいって言うならちょっとだけ聞いてくれよ」
「わかった。何でも言っていいぞ」
イタチの了承に安心したのか、表情を綻ばせたサスケは一回だけ深呼吸をし、口を開いた。
「兄さんが先に寝ると寂しいから…俺より先に寝ないで…?」
「……!」
「ほら、その…した後とか特に、寂しくなるからさ。兄さんが先に寝ちゃうと自分がひとりになったみたいで」
あまりにも乙女すぎるお願いにイタチは一瞬驚きを隠せなかった。なんでこんなにもサスケは可愛いのだろうと、思わず頭の中でぐるぐると考えてしまったほどだ。恥ずかしさからか頬を染めているサスケ。きっと勇気がいったのだろう。頬を指で擦ると、体温が上がっているのか少し熱く、その温度すら愛しい。
「にい、さん?」
「ああ、いいよ。サスケが眠りにつくまで起きてるから安心しろ。眠くなったら寝ていいから、それまで話し相手になってくれるか?」
イタチの問いかけに嬉しそうに目をほそめたサスケはゆっくりとうなずいた。ごめんな、今日だけでいいから、と詫びたサスケだったがイタチは「気にするな」と一言声をかけ、サスケの頭を優しく撫でた。そして耳元に唇を寄せると、そっとサスケに囁くのだった。
「サスケは気づいてなかったかもしれないが…セックスの後にお前より先に寝たことなんて一度も無いよ。お前が寝たかどうかは呼吸でわかるからな」
このイタチの言葉の後、サスケの体温がさらに上昇することになったのは言うまでもない。
end.
今度は逆に「じゃあ今日は俺より早く寝ろ!」とか言い出しそうなサスケたん。
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