棄てましょう




貴方は日を追う毎に、歳を重ねる毎に逞しくなっていく。学年を昇ることにより厳しく辛くなっていく授業内容に辞めていく同級生が多いに関わらず、わたし達は今この学園の生存者だ。それは忍たまに問わずくの一教室にも共通する点であり、お嬢様修行として生活してきた仲間は六年生になるころには皆学園を去って行った。故に忍たま以上に同学年の仲間は少ない。それは仕方のないことだとわかっていてもやはり寂しいという気持ちは少なからずあるわけで、仲の良かった皆があの門を出て行くのを何度涙を流しながら見送ったことか。だけどわたしだって目標が、夢があってこの学園で過ごしているわけで、それを今更棄てる気は更々ない。







でも、それも今日で終わりのようだ。白い着物。白い布。白い肌。白い唇。さわりと触れてみると想像以上に冷たくて、わたしの体温がわかりすぎて寒気がした。頬を、首筋を、瞼を、額を、髪を、冷たいそれを熱いそれで触っていく。わたしの体温が愛しい留三郎に移るようにぺたぺたと触る。でもやはりそれは冷たくて、ぴくりとも動かなくって、淋しくなった。留三郎、と名前を呼んでみても返事は返って来なかった。

嗚呼、留三郎も人間だったのに、






棄てましょう
(貴方のために)(夢も、)(命も、)


(命を絶つ覚悟はあるのです)




090802




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