甘い物は必需品




「………わかんない」


ご飯も食べてお風呂にも入って、それぞれが自分の部屋に行ってしまったので、わたしも部屋に向かった。
でも明日提出する課題が残っていたのを思い出して、今机に向かっている真っ最中。ただひとつ、わからない問題があったのだ。


「なんだこれ…、こんな解き方習ったかなあ…?」


数学の教科書をぺらぺらとめくってみても、それらしき問題は見つからない。刹那に聞いてみようかな、とも思ったけど時計を見ると既に日を跨いでいた。割と早寝の(起きるのは遅いけど)刹那はもう夢のなかでガンダムといちゃこらしてるだろう。
でもあの先生、必ず全部の問題に手をつけないと更に課題を増やす人なんだよな…。やっていかないと後が恐い。


コンコン

「はい?」
「アヤカ、まだ起きていたのか」


扉を開けたのはティエリア。いつも一番先に部屋に閉じこもってしまうティエリアは、あまり夜に会わない。
彼はわたしのところまで来て、机の上に広げられて白いままの問題を見つめた。


「……わからないのか?」
「うん、解き方わかんなくって…」
「これくらいなら、この問題の方式を利用して…」


ティエリアは近くにあったシャーペンを手に取って、すらすらと式を書き出した。たまに言葉に出しながら説明してくれるのでとてもわかりやすい。


「………これで答えはでる。解いてみろ」
「はい!」


まるで先生みたいな言い方だったからつい敬語になってしまったけど、この際気にしない。わかりやすい説明のおかげで理解することができた。
ティエリアは、わたしが問題に取り掛かるのを見てから部屋をでていった。













*******


「解けた……」


問題用紙の解答欄にびっしりと書き込まれた数字達を見て溜め息が出た。思い切り伸びたのと同時に、ティエリアが再び入って来る。


「終わったか」
「うん!ありがとティエリア!」
「これくらい、どうということない。できて当たり前だ」


すみませんね、できなくて。嫌みったらしい言い方だけど、これがティエリアの素だということは十分理解しているからあえて返さない。
すると彼は手に持っていたマグカップを机の上に置いた。ホットミルクだ。


「それを飲んだらさっさと寝ろ。明日も早いからな」


そう言って出てこうとするティエリアに慌てて声をかける。


「あ、ありがとうティエリア!おやすみ!」


すると彼は扉の隙間からふっ、と笑って「おやすみ」と小さく言った。滅多に見せない笑顔に不覚にもときめいてしまったのは否めなかった。










ゆっくり眠れるように
(控えめな甘さがちょうどいい)



(さすが教師目指してるだけあるわ…)



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ロックオンの担当科目は体育か英語
ティエリアはロックオンを目指して教師志望
この際理科の方が合いそう←


090215
090525修正




あきゅろす。
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