ちょっと違う昼




朝から慌ただしかったものの、何とか遅刻は免れた。予鈴が鳴るまであと5分弱。家から爆走してきた甲斐があった。


「アヤカーっ!」
「おわっ!?」


まだ涼しい春にも関わらず、汗かきまくりな私に見事なタックルをかましたのは、毎度のことながらクリスだった。クリスの後ろにはフェルトもいる。


「おはよー!アヤカがこんな時間に来るなんて珍しいね。どしたの?」
「あー…」


その言葉で昨夜と今朝の出来事を思い出す。流石に「親が海外旅行に行っちゃって、居候(男5人)と暮らすことになりました☆」何て言えない。
居候がいるなんて誰にも言ったことがないから、色恋沙汰が大好きなクリスに言ったら最後、一生ネタにされるに違いない。ってゆーか学校にバレたら問題になりかねない。


「……いやぁ、久しぶりに寝坊しちゃってさ!まじやばかったよー」
「でもA組の刹那くんと一緒に来てたよね…」
「何っ!?それは本当なの、フェルト!」


フェルトはかわいらしく、こくんと頷いた。あぁ、癒しのマイスウィートエンジェル・フェルト…今はデビルに見えるよ…。


「アヤカ!!」
「た、たまたま会っただけだよ!」
「でもよく朝一緒に来ない?」
「クラス違うのにねぇ…」


ニヤニヤと笑いながらクリスが痛いところをつく。フェルトも微笑みながら聞かないでよ!


「おはよう、みんな!席に着きたまえ!」
「あ、先生来た」


みんなガタガタと慌てて席に着く。


「てか何でグラハム先生なの?カティ先生はー?」


先生が来たことによって話題は逸れて万歳だが、このクラスの担任はカティ・マネキン先生。みんなが疑問を口にする。


「君達の担任、カティ・マネキン先生は急用が入ったので帰った。なので今日は副担任の私、グラハム・エーカーが着任した!」


いや、そんなに威張って言うことでもないだろうに。生徒からは…何とも微妙な反応だ(女子は喜んでるけど)。私も嫌いではないけど…うざいところは苦手。


「では日直は後で私のところに来るように。以上!」


それだけ言うと、グラハム先生はさっさと教室を出ていってしまった。てか連絡も何もしてねぇ!


「アヤカー、今日の日直アヤカでしょ?大変だねぇ。グラハム先生のことだからこき使われるよー」
「え、嘘!今日日直!?」


黒板の隅を見ると、たしかに私の名前が。なんだこれ…今日は厄日か?






カティ先生、お願いだから帰って来て…!



090208
090525修正




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