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短編
ホワイトマジック
[ホワイトマジック]

おい、そこのお前。あんただよ。何キョロキョロしてるんだ。
おれの前にはあんたしかいないだろ?暇なら少しおれの話に付き合ってくれねぇか?
なに、立ち話しで済む程度のことさ。

あれは去年のホワイトデーの前の日のことだ。今でも妙なことだと思ってる。
彼女にバレンタインのお返しをしようと思ってたんだ。
実は選びに行くまえに彼女に包み隠さずダイレクトに聞いてみたんだ。そしたら笑って「何でもいい」だってさ。
正直、それが一番困る。ま、高級な物請求されても困るけどな。そんなわけでおれはあてもなく街をフラフラとしていた。

[歩き回っているうちに何か見つかるだろう]
・・・・・・そんな安易な考えは砕かれつつある。

いつの間にかいままで通ったことのない小さい通りを歩いていた。
迷ったら回れ右して戻ればいいさ。そう思っていたのが間違いだった。

おれ・・・・・どこをどう来た?正真正銘の迷子だ。
こんなとこで飢え死ぬなんてことはないだろうけど一生戻れないような気がしてゾッとしてきた。
腹もへったな。
そんなおれの前に「入れ」といわんばかりにこじんまりとした喫茶店がみえてきた。
値段・・・まあ普通だな。とりあえず腹ごしらえだ。
カランカランッ
音を立ててドアを開く。
特に変わった様子もないただの飲食店だ。
おれはカウンター席につき、定食を注文する。しばらくすると出来立ての料理が運ばれてきた。
どうやらこのお店は中年の穏やかそうなオヤジが1人で切り盛りしているようだ。
他の店員は見当たらない。
そうだ、駅までの地図をかいてもらおう。

「お客さん。プレゼントをお探しですか。」
いきなりオヤジに声をかけられたおれは正直驚いた。
「よくわかったな。」
「顔にかいてありますよ。それも大切な女性への贈り物ですね。」
おいおいおれの心を読んだみたいなこといいやがるな。
「・・・・・・・・間違ってはいねぇよ・・・」
「でしたらこちらはいかがですか?お気に召すと思いますよ。」


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あきゅろす。
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