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SPECIAL!シリーズ
隊長たちの始まり4
そして翌日、頑丈に防御されたつくりの訓練棟に訓練生たちが集う。
その中には克己もいた。

いよいよA・B・Cブロックに分けられ、実力審査という名の試合が、1ブロック10名でトーナメント式に行われる。

時間制限はなく、どちらかが倒れるか降参するまでという方法となる。


試合が進められていくなか、ひとつのブロックから高笑いが響く。

「おーほほほほほほほほほほほほほっっ」

樹である。
対戦相手は既に座り込んでまったをかけている。

「勝者っ樹!」

審判員の声が響く。

「あ・た・しってぇ〜つっよぉぉ〜〜いっっえへっ」

植物の能力者である樹は手にしているバラの鞭を縮め、勝利の祝いと言わんばかりに真っ赤なバラを咲かせて、くるくると踊りながらコートから出る。

(女王様だ・・・)

誰もがそう思った。

勇火はAブロック、克己はCブロックのかたまりで順番を待っている。

克己と昨日戦った雹汰はBブロックである。


「今度はBブロックの決勝じゃないの。」

準決勝まで勝ち続けている樹がいう。

対戦相手は雹汰。

「あらんっ雹汰ちゃんと戦うだなんてっこっわ〜い」
「けっカマ野郎がっ!俺様の強さにひれ伏すがいいっっ!」

雹汰がそう言った後、数人の取り巻きたちが雹汰の気を持ち上げる。
そんな様子を、樹はクスリと小さく笑う。

「ふふっお子ちゃまねぇ〜〜。」

そんな樹に気づいた者はいなかった。

そして、Bブロックの決勝は・・・・・


「ずみまぜんでしたぁ〜〜〜」
「ほーほっほっほっ美しさの裏に強さありよっ樹ちゃんの勝ちぃぃぃぃぃっっ」


こんな言葉が飛び交う通り、樹にコテンパンにやられた雹汰は泣きベソかいてます。
試合前の強気はどこいった?

樹は勝利の祝いとばかりにBブロックのコートをまるまる花畑に変えてしまい、踊りだす。
コートから逃げ遅れた雹汰は泣きベソかきながらあわあわとしている。

訓練生たちはそんなBブロックはほっといて他のブロックを見る。
どうやらA、Cブロックとも各決勝を終わらせたらしい。

「これから各ブロックの代表者同士で戦ってもらいます。まずはAブロック代表の勇火!」

とたんに女子たちの黄色い声援が響く。

「対戦相手はBブロック代表の樹!勝ち残った者がCブロック代表の克己と戦ってもらいます!試合は15分の休憩後に始めます!!」

榎炎がそう言うと、訓練生たちはそれぞれ気の合う者同士で集まる。

そして、なぜか克己、勇火、樹の強者3人が集まる。

「克己君、いよいよだねっ」
「ああ、てめぇの思い通りにはならねぇからなっっ」
「勇火ちゃんと戦わなきゃならないなんてなんて悲しい運命なのっ」
「けっ今更ブリッコしてんじゃねぇっ」

克己の言葉は無視して目を潤ませてブリッコポーズをとる樹。

「樹君、お手柔らかにね。」
「君だなんてイヤーんッ樹ちゃんって呼んで!それかぁーハニーでもいいわよっきゃーんいっちゃったぁ」
「ケッ!てめぇなんか呼び捨てで充分だ!」

3人ともどこか楽しそうに見える。
見ためも性格も全く違うのに何故か違和感を感じさせない雰囲気がある。

やがて休憩時間は終了して、コートには勇火と樹が向かい合って立っている。

他の訓練生たちはそんな2人を真剣に見ている。

「これより勇火と樹による準決勝戦を行う!」

指導員がそう言い、試合開始の笛を吹く。

「勇火ちゃんだからって手加減しないわよ」
「ありがたいね。」

樹は百合を自分の身長の半分くらいに一気に咲かせる。
そして、花を勇火に向ける。
勇火は右手に炎を生み出し、2つの火の玉を自分の頭上に浮かせる。

「炎の剣は使ってくれないのかしら?」
「あれは長い間出してると疲れるんだよ。」
「そう、ならいいわ」

2人とも動かずに睨み合っている。

(これ当分動けないんじゃね?)

誰もがそう思いながらも真剣に見ている。

「先制攻撃いっくわよ〜〜ん」
『お前軽すぎだろっ』

樹のセリフにコケながらもついツッコミを入れてしまう訓練生たち。

樹は百合の花をダーツ投げるかのように勇火に向かわせる。
それは勇火に近づくと一気に花粉が飛び出した。

「ふふっ花粉爆弾のお味はいかが?」

身を屈めて床を転がり、勇火はうまく避ける。

が、代わりに観客席にいた雹汰にモロ直撃。

「ぶえっっくしょおぉぉぉぉぉぉぉぉいっっ!!!」

勇火は火の玉を2つとも樹に向かわせる。

「危ないなぁ〜。防御ばかりじゃダメだね。」

勇火は炎で自分の腰の高さくらいまである輪を作り、樹を指差す。

「走れ!!」

炎の輪は勢い良く樹に向かって行く。
樹は顔を歪ませるが、蔦を出すと鞭のように振るう。
しかし、容赦なく燃やされる。

「ヤバッ・・・」

とっさに蔦を手放し、向かってくる炎の輪を紙一重でかわす。
しかし、輪は軌道を変更して再び樹に向かってきた。

「いやーーーーーんっっこういう場合って能力者潰すのが一番有効なのよねっっ!」

樹は走りながらも太めの竹を出して、勢い良く勇火の頭に振り下ろす。
勇火は炎の剣を出して防御する。
そのまま睨み合う2人。

「すげーーっっ」
「さすが準決勝!!」

観客席から驚きの声が次々とあがる。

樹は背中に向かってくる炎の輪を察して勇火から離れる。
勇火は炎の輪を手にする。

竹を手にした樹と炎の輪を手にした勇火、2人は再び向かい合う。



「いや〜〜んっそーんな怖い顔しちゃイヤイヤん!あたしこーさんするわ」
「は?えっと・・・・・今、何て?」
「だ〜か〜ら〜っ降参するのよっえへっ」

樹の言葉にその場にいた者全員がキレイにコケた。

「えへっじゃないだろ貴様ぁ!」
「そうだそうだ!」
「普通はもうちょっとやるだろっ!」
「外野ウルサいわっ」

樹はヤジを飛ばす雹汰たちに花粉爆弾をお見舞いする。

「それって、もう僕とは戦ってくれないの?」

勇火は困った顔で樹に聞く。

「だってぇ〜勝ち目ないしぃ〜これ以上愛しの勇火ちゃんと戦うだなんて耐えられなぁい」
「つまり、戦意喪失だと?」

審判の指導員が聞くと、樹は思いっきり頷いた。

「で、ではっ樹は戦意喪失により勝者は勇火!よって休憩を「あ、休まなくていいです。」

指導員の言葉を勇火は遮る。
そして、コートの外にいる克己に顔を向ける。

「こっちに来なよ。君と戦いたいんだ。」
「上等だっっ!休まなかったこと後悔させてやるぜっっ!!」


克己がコートに飛び入るのと同時に樹はスキップしながら観客席へと戻っていく。


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