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神様に慰められる(白澤)
私はあまり賢くない。
私はあまり美人ではない。
私はあまり愛想が良くない。
私は・・・


「ストップなまえちゃん」


部屋で一人悶々と鏡と向き合っていると白澤様が扉を開けて鏡と私との間に顔を挟んできた。
思わず眼前に白澤様の顔が広がって体を後ろに思い切り引いた。

「は、くたく様!」

「すんごい陰の気が溜まってるから来てみたら、良からぬことを考えてたでしょ?」

膝をおって私と目線を合わせると、白澤様がギュッと私の握りこぶしを握った。

「ほら、冷たい。女の子は体を冷やしたらだめなんだよ?あと、心もね」

握りこぶしを一本一本丁寧にほどいてゆっくり優しく手を包んだまま撫でまわす。
触れ合うことに対する気恥ずかしさより、安心の方が優って私はくしゃりと顔が歪んでしまうのを止められなかった。

「はくたくさまぁ〜!」


向かい合わせのまま。
薬草の匂いがする白衣に鼻先を押し付けて私はわんわん泣きじゃくる。
いつの間にか全身を白澤様の体に預けて、白澤様は赤子をあやすように背中を撫でてくれた。
包まれる感触が手放せなくて、その広い背中に手を回すこともなく。
白澤様の腕の中で私は丸まった。


「我慢しなくていいよ」


いつも饒舌な白澤様だけど、この時はあまり喋らずに言葉で慰める訳でもない。
それが酷く安心出来たのだ。



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