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明日にはこの腕の中(シンドバッド)


君に選択肢はないんだけどなぁ、と小さく呟いた声を私は聞き逃さなかった。
思わず顔を上げると、彼は口元に笑みを浮かべながら目を少し丸くし、どうしたんだい?と首を傾げていた。


いえ、と口をキツく噤みながら嫌な汗が流れた。
選択肢がない、なんてことはない。
このままズルズルと誰かに頼り切ってしまうのは嫌だった。
元の世界ではきっと死んだ扱いになってるなら生まれ変わったこの世界の人生を、私は前向きに歩みたい。


元の世界では平凡な学生だった私の世界は小さくて狭かった。
広げる前に死んでしまった。
だったらこの世界では色々みて、知っていきたかった。
特にアラジンくんたちを見てそう考えさせられた。



「まぁ良いさ。よく考えてくれ」


王様は私の手に恭しく唇を寄せた。
反射で思わず後ずさる私に一瞬目を細めた王様。


「よく考えて、君が決めるんだよなまえ」


彼の後ろに微かに見える黒い蝶。
透明で真っ白なこの国の人たちの蝶とは違う。

笑顔で私に選択を委ねると言っているのに、何故喉元に剣を突きつけられたような息苦しさを感じてしまうのだろうか。





明日にはこの腕の中
君はオレから逃げられないよ




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