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僕らは一人きりでは生きていけない(雲雀)

あ、良いなぁと思っただけだ。思っただけ。別に欲しいなんて口にしてもいなければ、物欲しそうに凝視した訳でもないのに、彼はしれっとした顔で「どうしたの?これが欲しかったんでしょう?」と言う。私の手のひらには鳥籠モチーフのついたピンクゴールドのネックレスがあった。何でわかったんだろうって思いながら彼を伺えば、「何、嬉しくないの?」とふてくされてしまったものだから私は力が抜けて、素直にありがとうと笑顔を浮かべた。彼は恋愛面でもクールかと思っていたけど、私が付き合ってきた中で(と言ってもまだ三人目だけど)一番スキンシップが好きだし、こういった些細なプレゼントもマメだった。だからといって幻滅した訳でもなく……案外私たちはお似合いなのかもしれないねと笑った。彼はそんな私の笑いを察してますますふてくされるのだ。

彼はそれはもう私が好きで仕方ないらしく、かと言って彼にもプライドがあるものだから、その間で揺れ動く彼を見るのがすごく好き。カッコ良い彼が、可愛いと思える瞬間だ。私が六道くんと喫茶店でお茶をしていたところ、連れ出されて彼の部屋に引きずり込まれ、無言でずっと抱き締められたことがあった。その時の彼は私を責める訳でもなく、ちょっと泣きそうな顔をしていたかもしれない。そこは責めても良いのにと思って、優しく彼の名前を呼ぶと、「まさか浮気?」とかすれた声で言うものだから愛おしさが溢れてしまった。六道くんとは偶然会って、お話していただけ、愛してるのは恭弥くんだけと言えば、それでも納得できないと小さく呟いた彼が大好きだった。ねぇ私、恭弥くんが好きで好きでたまらないよと言えば、「そう…」と私の肩に顔を埋める。このまま襲ってくれないかなぁと思っても、これだけは察してくれない。

六道くんが言ったように『プレゼントは私』にしてみようかななんて思いながら、もうすぐ来るであろう彼の誕生日へと思いを馳せる。


どうしたらあなたが喜んでくれるかなんて私には分からない
(伝えたいのは、私のために生まれてきてくれてありがとう)



まさかの誕生日夢を半年経った今発掘(笑)

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あきゅろす。
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