ひぐらし(忍足)
会話文のみ。
似非関西弁。
アブラゼミがジーワジーワと鳴いている。
「アブラゼミより蜩のが好きだな」
「蜩ぃ?蝉なんて変わらへんやろ。おかしなやっちゃなぁ」
「全然違うよ。鳴き声が全然違うんだから。博識な忍足が知らないの?」
「興味ないからなぁ…。ちゅーか、博識ちゃうし。なつみもオレのメガネに見事騙されとるなぁ」
「蜩はね、夕暮れ時に鳴くんだ。カナカナカナ…って。だからかなぁ、あれを聞くとちょっと寂しい気分になる」
「寂しい?」
「帰らなくちゃなぁとか、もう終わりかぁって」
「せやのに好きなんか。変わっとるなぁ自分」
「そうかな?うーん、言われてみるとそうかも…」
「なんやねんソレ。ますます変やで」
「うっさいなー。ええの」
「移っとるし」
「方言マジック」
「ちゃうちゃう。自分がつられやすいだけや。すぐ影響受けるしなぁ」
「む…。まるで私が単純馬鹿みたいな言い方」
「まるで、ちゃうし。まんまそうやろ。前は立海の仁王のけったいな語尾が移っとったしなぁ」
「………うるさい。て言うか、もしかして忍足、仁王嫌い?」
「はぁ?別に。絡みないし」
「その割りには口悪くない?」
「……それは、まぁ、仕方ないやろ」
「なにゆえ、仕方ない?」
「なにゆえって、今度はどこの馬の骨の言葉が移ったんや」
「やだ忍足恐い。わかった!嫉妬でしょ」
「………………………はぁ?」
「………そんな心底呆れた顔しなくてもさぁ。冗談で言ったのにうっかり刺された気分」
「刺してへん。ちゅーか、話それすぎやろ」
「あー、なんの話だっけ?……あ、蜩か」
「自分と話しとるとボケた婆さんと会話しとる気になるわ」
「忍足の馬鹿やろう」
(忍足ぃ、図星でしょアレ)
(ぅ、聞いとったんかいジロー)
.
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!