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夏メン(不二)


本気になった時に見せたあの汗も表情も


平素の涼やかな佇まいも。


生暖かい風に吹かれた茶色の細い髪が夏の日差しに透けてキラキラと光る。


額にはうっすらと汗が浮かんでいた。


冬に見た、口から出る白い呼気と同じようにその汗は彼が完成された芸術品ではなく人間なのだと知らしめる。


「……そんな目で見ないでよ」


そう言って隣りを歩いていた不二くんは私に向かって微笑んだ。


「君の熱い視線で熱中症になりそう」


うっすら開いた瞳は色素の薄い、長い睫毛に縁取られて色がわからない。


「それはこっちの台詞です…」


暑さのせいか、不二くんの壮絶な色気のせいか、私はクラクラした。






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