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箱庭(雲雀+10)




障子の隙間から見える景色は正に夏そのもの。
水色、黄色、オレンジ、紫、青
鮮やかなグラデーションとともに流れる蜩の鳴き声。


だけどこれは全て偽りだ。


確かに暦では今はまだ夏。


しかしここは地下。


私の眼中に映る景色と、耳に入る蜩の鳴き声は人工的に作られたもの。


だって、開け放しの夏の景色にそぐわない涼やかな冷風が私の肌を撫でている。


頬に当たる畳の感触、臭いだけは年中変わらない。


「考え事かい?」


ハッとして体を起こしたがすぐに畳に叩きつけられた。


「雲雀さ…っ」


「勿論、僕の事を考えていたんだろ?」


夏なのに、冷たい空気が肌を撫でる。
私も彼も熱い。



ここは残酷な箱庭。




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