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青の行方

海に遊びに行った時。
魚がかかるまでずっとお話してくれた。

星の混ざった砂の話とか。
幸福を運び続けるイルカの話とか。
綺麗な珊瑚の話とか。

嘘ばればれの作り話を、幾つも幾つも教えてくれた。

僕はそれが大好きだった。

「じゃあ何で海は青なのー?」
「ジュニアが青を映しているからだよ。」
「意味分からない。」
「そう?ほら、海の青。」

僕を抱き上げて、海と映した。

けれども僕には貴方の顔しか見えない。

だって海は背中だもの。


「空も青だよー。」
「じゃあ、空の青。」

そう返せば。
何でもないように僕を空へと高く上げた。

僕の背中に空が乗る。

「どっちなの?」
「どっちでもあるんだよ。だって海と空は繋がっているじゃない。」

そう言って海と空の境目を。
今度は一緒に見た。

僕の背中は貴方の身体。
目線はおんなじ地平線。


あの時は、ずっとこの時が続く気がしていたんだ。


あの日から何の変わりがなくたって。
世界は様々な変容を遂げた。

時は止まらずに傷跡を残し続けた。

鏡に映る自分を見る。

ついでに映る空を見る。
何だか何処かが廃れた感じ。

「グラフ……」

必死に言葉を紡いだ。


空が灰に覆われて。
海が涙で濁ったら。

決まってグラフが空を見て。

雲の上は。
海の中は。

何にも変わらず、綺麗な青なんだ。

って、何度も何度も教えてくれた。


今は誰も教えてくれない。
今は記憶が消えるだけ。


星の混ざった砂は誰が持って行ったんだっけ?

幸福を運び続けるイルカは誰を待っているんだっけ?

綺麗な珊瑚は誰の道標に輝き続けるんだっけ?


グラフの笑った顔だけが。
妙に頭の中に残って。
ただ、ただ僕を困らせた。


青の行方


いつかは思い出させて欲しい。
全ての話の結末を。



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長々とリクエストを待たせているお詫びです………。

(´・ω・)つ(・ω・)←贈答品



あきゅろす。
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