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切原赤也
切原赤也
いつでも思い出すのは先輩の声
ほのかに香る甘い匂い
そして、俺を元気付けてくれる明るい笑顔。
溢れ出すのは…
鮮やかな青が広がる朝、珍しく早起きして愛しいあの人が来るのを今か今かとまるで忠犬の様に玄関で待っていた。
ワクワクした気持ちで待っていると、家にインターホンの音が鳴り響き、俺は直ぐさま玄関の扉を開けた。
するとそこにはニコリと俺の大好きな笑顔を覗かせた先輩の姿が。
『おはよう、赤也。』
「はよっス、先輩。」
『玄関開けるの随分と早かったね?』
「そりゃそうっスよ。ずっと待ってましたから!」
『ふふ、そっか。あ、はい、ケーキ焼いてきたの。』
「どもっス!あ、どうぞ。」
『お邪魔します。』
こう軽く言葉を交わすと、エスコートする様に先輩の手を引いて、この日のために綺麗にした部屋に招き入れる。
「適当に座ってて下さい。飲み物持って来るんで。」
『うん、有り難う。』
家にあった一番可愛らしいコップにオレンジジュースを注いで、先輩が焼いてくれた美味そうなケーキを皿に乗せ、俺は足早に部屋へ戻った。
「お待たせしました。」
『有り難う。何かごめんね、赤也の誕生日なのに。』
「一々そんな事気にしないで下さいよ!」
こんな事で申し訳なさそうにしている先輩が何だか愛しくて、持って来たジュースとケーキをテーブルに置き、床に座っていた先輩を抱き上げて今度は俺の足の上に座らせ、後ろからギューっと抱き締める。
『あ、赤也…恥ずかしいんだけど…』
「別に良いじゃないっスか。誕生日プレゼントって事で」
『もう…』
仕方ないなぁ、という感じに微笑む先輩の肩に甘える様に顔を埋めて、抱き締める力を強めた。
『ふふふっ、くすぐったい』
「ん…もうちょっと…」
『特別ね。…でも、本当にこれが誕生日プレゼントで良いの?』
「え…?」
『赤也がずーっと欲しがってたゲーム買って来たんだけど?』
「えー!?嘘、嘘っス!下さい!」
『どうしよっかなぁ?』
「先輩━━!!!」
窓から射し込むポカポカ陽気と幸せに包まれながら、賑やかだけどゆっくりとした時間を過ごす。
いつでも思い出すのは先輩の声
ほのかに香る甘い匂い
そして、俺を元気付けてくれる明るい笑顔。
溢れ出すのは…
先輩への愛。
END.
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