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財前光


財前光




今日も俺はあの人の元へ行く。




「先輩―、ぜんざい食べに行きましょうや」


『光…私、甘い物嫌いだって言ってるでしょ』


「ケチケチ言わんと付き合うてくれたらええやないですか。先輩付き合い悪いっスわ」


『聞き捨てならないわ…今までも何回も付き合ってるじゃない!』



そう…俺は先輩が甘い物が嫌いやって事を知った上で誘っとる。



「ほなまた行きましょうや。付き合いええんやろ?」


『…仕方ないわね。ほら、行くわよ』




それに、こういう言い方をすれば先輩は必ず来てくれる。


ほんまは普通に誘っても、口では嫌やって言うても来てくれる程優しい先輩なんやっちゅー事も知っとるんやけど、ついこういう言い方になってまう。


俺って結構歪んだ性格しとるな…。




━━━━……



「先輩何も頼まないんスか?」


『毎回聞かないでよ…食べられる物がないの!誰かさんのせいで』


「ふーん…誰っスかね」


『あんた本当可愛くないわよね』



俺の前には美味そうなぜんざい、先輩の前にはお茶、これが決まりになっとる。




「そんな可愛くない後輩に付き合ってる先輩は変わり者っスね」


『べ、別に好きで付き合ってるわけじゃ…あんたが嫌み言ってくるから仕方なく…!』


「あーん」



先輩が必死に誤魔化してる姿を見て、口元が緩みそうになるのを頬杖で隠し、もう片方の手に持ってるスプーンでぜんざいをすくって、スッと先輩の口元に差し出す。




『な、何よ…』


「食べないんスか?美味いで」


『だから甘い物は嫌いだって言ってる…「あ―あ…先輩の好き嫌いを克服してあげようと思ったんやけどなぁ…切ないわ…」


『ぐ…っ、た、食べるわよ!』


「ほな、あーん…」


『あ、あーん…』




あぁ…ほんまにこの人は可愛い。

真っ赤に染まった頬、少し潤んだ瞳も全てが愛おしい…。




「どうっスか?」


『やっぱ甘い…』


「でも、そんな嫌いやのに俺がちょっと切ない顔しただけで食べてくれるやなんて…先輩、俺の事めっちゃ好きっスね?」


『っ…ひ、光だって…いつも私の事誘ってくるなんて、相当私の事好きよね?』


「ふっ、そうっスね」




不器用な2人の恋愛事情。





「好きやで」




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あきゅろす。
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