拍手履歴 白/謙/ユ/財 ※社会人ヒロイン ※姉だけど標準語 ※親は出張中 ※これの続きみたいなもの 『はぁ…。今日も疲れた。』 深い溜め息を付きながら、トボトボと重い足取りで家路を歩く。 今日は5月の第二日曜日。 そう、日曜日だというのに私は休日出勤に駆り出されていた。 『帰ったら夕飯の支度しなくちゃ…。』 時刻は7時を少し過ぎた頃。 我が家には育ち盛りの弟が4人も居るのだ。 お腹を空かせて待っているに違いない。 『でもなぁ、今日は疲れちゃったし出前にしようかしら…。』 そんな事を考えながら到着した家の玄関の扉を開け「ただいま」と声を掛けながら中に入ると、家に明かりは無く、静寂が広がっていた。 『…外食にでも行ったのかしら。…仕方ない、か。』 弟達は毎日の様に部活で汗を流して頑張っているのだ。 当然今日もあったわけで、私が帰って来るまで待ちきれなかったのだろう。 でも、何時もなら私が帰って来るのを待っててくれるのに…。 こういうのは初めてで、何だか寂しい気持ちになってしまった。 1人だし、カップラーメンで済ませるか。 沈んだ気持ちでリビングの扉を開けた瞬間… 「「姉ちゃんお帰り!」」 という元気な弟達の声と共に部屋に明かりが点された。 『え、あれ…あんた達居たの?』 居ないと思っていた弟達のまるでドッキリの様な登場に思考が追い付かないでいた。 ユ「休日出勤お疲れさん。」 謙「姉ちゃんの帰りを今か今かと待ってたんやで。」 蔵「ちょおダイニングに来てや。」 光「姉貴に見せたいもんがあるんや。」 やたらニコニコした弟達に手を引かれダイニングに行くと、そこにはズラリと料理が並べられていた。 蔵「今日は母の日やろ?姉ちゃんにはおかん以上に世話になっとるから部活終わった後に俺等で作ったんや。」 謙「姉ちゃん、何時もほんまおおきに。仕事で疲れてる筈やのに俺等の面倒まで見てくれて…頭が上がらんわ。」 ユ「これは俺と謙也から。定番やけどカーネーションや。白とピンクをチョイスしてみたで。 白は[尊敬][純潔の愛]ピンクは[感謝][上品・気品][暖かい心]っつー花言葉なんやて。姉貴にピッタリやろ?」 光「ほんで、こっちが俺と蔵兄からや。アロマキャンドルと入浴剤。これで日頃の疲れを癒してな。」 『あんた達…嬉しい。ほんとに有り難う。』 溢れそうになる涙を堪えながらユウジと光からプレゼントを受け取る。 蔵「さ、手洗いうがいして着替えて来いや。料理が冷めてまう。」 『うん。』 謙「なぁ、姉ちゃん!真っ先にこれ食べてな?俺が作ったんやで!」 ユ「あ、狡いでぇ謙也!姉貴、これは俺な。自信作や!」 光「餓鬼か。…姉貴、これが1番美味いで。」 蔵「こら、姉ちゃんを困らせたらあかんやろ。…俺としてはこれがお勧めやで。」 『ふふ、はいはい。ちょっと待ってて。』 確かに大変な事も多いけど、こうして姉思いの弟達が傍で支えてくれるから私は頑張れる。 そんな幸せを噛み締めながら寝室へ向かった。 end. [*前へ] |