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「綱吉君、手、見せてください」

「は?…なんで?」

いつものように二人、綱吉の部屋でのんびりしていると、骸がそんなことを言い出した。それに怪訝に思って眉を寄せた綱吉に、微かに慌てた素振りを見せて言い募る。

「クロームが手相に興味を持ち始めたようで、熱心に本を読むんです」

「ふうん。それで?」

今日の綱吉は若干冷たい、などと感じながら彼は続ける。

「あの子を通じて僕も覚えてしまったので、折角だからあなたのを見て差し上げようかと」

手相と言うものは中々面白いもので、長年に渡って決して途絶えることなく受け継がれてきたその深みと言うものがある。同じ東洋の占いならば本当の所朴占の方が興味があったりするが、これは些か本格的過ぎてしまう。
それに、骸の狙いはただ純粋に綱吉が喜ぶのではないか、と言うところにあった。彼の中で綱吉はしばしば女の子染みたイメージがあったりするのだ。

「手相かぁ…胡散臭いけど、良いよ。骸が見てくれるんなら」

はい、と簡単に手のひらを向けてくる綱吉に微笑んだ骸だが、綱吉が了承したのは骸が喜ぶなら、と言う理由だったりする。

とまぁ微妙にすれ違った経緯ではあるが、手相占いが始まった。

「おや……」

「な、なに?」

骸が綱吉の手を軽く握りながら、表情を曇らせる。すかさず訊ねれば、

「綱吉君、生命線が切れてます」

「ぇえっ?!」

なんて言われて。更に

「なのに成功線はやたら長いですねぇ…やはりボスになるんでしょうね」

「…ぅええ?!」

喜んで良いのか悲しめば良いのか複雑な結果を言われて、綱吉は自分の手を凝視した。

「どこ!どれだよその何とか線って!」

その剣幕に若干驚いた骸だが、直ぐに笑みを浮かべて、つぃ、と綱吉の手のひらを横になぞった。

「これが生命線で…」

「ひゃっ!」

「………」

「………」

「…こっちが成功線です」

今度は縦になぞる。

「ひぅっ!」

やはり上がる二度目の矯声(?)に、骸の表情が変わった。それに気付いて、綱吉が顔を赤らめつつ手を自由にしようと引いた。が、がっちり握られており叶わない。
恐る恐る骸を見れば、見とれるような笑顔を浮かべていて。

「ま、待って骸…今のは!」

「いいえ待ちませんよ」

慌てて掛けた制止は受け入れられず、強く手を引かれてその胸に飛び込んだのだった。

「…因みに愛情豊かな相が出てますが、浮気はしないで下さいね」
「なっ?!なんだよそれ!しないよ!」

「クフフ」







end*

まるで女子中学生のような二人(笑)




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