SS
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「1本、2本、3本……はぁ」
と、何やら数えて溜め息を吐く恋人に、近寄って訊いてみる。
「何を数えているのですか?」
「ん…白髪の数」
それに苦い顔をして答える彼はまだ二十歳を過ぎたところで、白髪など似つかわしくない年齢だ。
凡そ職業、その役職の責任から来るストレスによるものだろう。何せ彼はその若さで、マフィアきっての巨大ファミリーのボスなのだから。
「…疲れているのでしょう」
「ん、俺もそう思う。最近寝てないし」
それにしても髪伸ばしてるから余計目立つんだよなー、と、白い髪を摘まんで今にも引き抜こうとする彼に待ったを掛けた。
「何?」
「ほら、白髪は抜くと増えると言いますから」
「…えー。じゃあ、どうすりゃ良いんだよ」
「切りましょう」
「分かった。お願い」
提案するとアッサリ同意して、しかもそれを僕に任せると言う。その決断の妙な早さに目を丸くしていると、切ってくれないの?なんて小首を傾げてくる。
その仕草に思わず笑みが零れそうで。
「いいえ。任されましたよボス」
「ボスって呼ぶなっ!」
「はい、綱吉君」
彼の後ろに回ってから、そっと忍び笑ったのだった。
end*
白髪切るだけで大げさだな(笑)
刃物を持たせること、背後を晒すことに、信用されてるんだなーとしみじみ思った骸のお話でした。
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