SS
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すっかり暑くなってきた7月。
弱めの冷房を効かせた応接室でいつもの様に書類に目を通す。休日だからといって素直に休める訳もない。
欠伸を噛み殺して時計を見る、1時だ。直にあの子が来るだろう。その前にある程度終わらせておこうとペースを上げた甲斐あって、応接室の扉がノックされる頃には全て片付いていた。
「ヒバリさん、こんにちは」
「やあ」
ひょっこり顔を出した綱吉にソファーに座る様言って、自分は冷蔵庫のある給湯室に
「待って下さいっ」
行こうとした所引き止められた。
「何?」
「あ、あの、今日は飲み物要らないです」
ガサリ、とレジ袋を揺らして側に寄って来る綱吉。
コンビニ寄ったんで雲雀さんにも。そう言って差し出された紙パックのカフェラテ。見比べると綱吉がヒクリと肩を揺らした事で自分があまり良好な顔をしていないと知る。
僕はラテもオレもそれほど好きではない。
「甘さひかえめって書いてあったから、どうかなって」
窺う様に見てくる綱吉の視線に何となく理解した。多分、どんなものか気になったけれど全部は飲めそうにないから、僕に寄越したんだろう。自分はしっかり好きなイチゴオレを手に持って。
「……ありがと」
でもまぁ折角だからと受け取って、飲み口を開くと一口含む。そして直ぐさま見つめて来る大きな目を捉えて顎を引き寄せた。
「ひばりさ、」
トプ、と流れ込む液体に目を見開いた綱吉の喉が上下したのを見届けて、そっと唇を離す瞬間の名残惜しさ。
ああけれど、その後味は、
「甘い」「苦い」
end
某コンビニで見付けた甘さひかえめカフェラテ。
きっと雲雀さんには甘く、ツナには苦い味。
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