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ディノツナ 5/17※微裏
ちゃぽーん。
狭い湯舟に男二人、これってどうなんだろう。と綱吉は首を傾げた。
イタリアから遥々やって来た兄弟子、ディーノ。彼が「日本では裸の付き合いってのがあるんだって?」とかニコニコ笑顔で言いながら半ば強引に綱吉を風呂場に連れ込んだのだ。
エンツィオに破壊された記憶と比べれば随分良いけれど、如何せん狭い。しかも湯舟に浸かるのは交代にしましょう、と言う提案はアッサリ却下された上、綱吉はディーノの膝の上に座らされていた。よって狭いに恥ずかしいが加わる。
(小さい子じゃないんだから…)
綱吉の体の横をするりと伸びるディーノの腕や足は、服の上からなら細く見えるのにこうして見ると程よく筋肉がついていて男らしさを感じる。一方自分はどうだ、と綱吉は自分の体を見下ろして見る。細い腕、細い足、薄っぺらい胸板。貧弱過ぎて思わず落胆のため息が洩れた。
「ん?どうかしたかツナ」
「いえ…俺もディーノさんみたいに男らしくなりたいなぁ、と思って」
「ツナはまだ中学生だからな。心配しなくてもこれからでかくなると思うぜ?」
「本当ですか?」
「ああ!俺だって中学生の時は細っこかったんだからな」
「そうなんですか?でも、俺はディーノさんと違って日本人だからなぁ…」
ブクブクブク。
いじける様に目下までお湯に浸かった綱吉の頭を、ディーノがポンポンと叩いてあやす。綱吉が気持ち良さそうに目を細めた。
「ツナ。いつまでもそうしてたら逆上せるぞ」
ふぁい、水中で返事をして頭を出す。と、
「うひゃあっ」
「どうした?!」
ブルリと震えて綱吉は裏返った声を上げた。
「耳に水が入ったみたいです…うーゾクゾクした」
「……っ」
耳を押さえて頭を振る綱吉にディーノは顔色を急に変え、小さな身体を抱きしめた。
「ディーノさん?」
名を呼ばれたのには答えず、つ、と目の前にある綱吉のうなじに舌を這わせる。ディーノは欲情していた。
「ひゃうっ?!」
驚いて振り返るその唇に自分の唇を重ねて塞ぐとスルリと腿を撫でる。
「ん!…ん…ぅ、っ」
無防備な口内を堪能してから唇を離せば、慣れない行為に綱吉は蕩けた表情をしていた。
「…悪い。さっきの声聞いちまったらつい手ぇ出ちまった」
その言葉にカァッと赤くなった綱吉が俯いて首を横に振る。
「嫌じゃ、なかったです」
「ツナ…」
「ディーノさん…」
互いの名を呼び見つめ合った二人が顔を近付けていく。唇が再び触れ合う、その瞬間。
ドカッ!
「テメェら風呂場でいちゃつくんじゃねぇ」
「「リボーン!!?」」
浴室の扉を蹴破って現れた幼児に二人は同時に声を上げた。
二人の師であるリボーンは、不機嫌そうにその垂れ眉を更に下げて何かを放ってよこす。
「暴れて来い」
それを思わず受け取ったディーノは叫んだ。
「エンツィオー?!!」
「んなーっ!!」
そう、リボーンが投げたのは水を吸う事で大きくなるスポンジスッポンのエンツィオだったのだ。
気付いた綱吉も叫び、それに動揺したディーノがうっかりエンツィオを湯舟に落として、更に事態は悪化。
「「うぎゃーっ!!!」」
浴室は半壊、全裸の二人はそこから投げ出されたのだった。
end*
微裏、しかしあくまでギャグ(笑)
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