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「…綱吉?」

いつもの様に会いに来てみれば、君が泣いていた。

「…え?わ、ヒバリさん!」

とりあえず窓から部屋に入って、僕に気が付いて慌てて涙を拭う君の側へ。
ゴシゴシと目を擦るその手を捕まえて、代わりに目尻にキスを落とす。

「赤くなるよ」

そう注意すれば、恥ずかしそうに君は笑った。

「ねぇ、何泣いてたんだい?」

「…わ、笑わないでくれますか?」

「うん」

笑わない様にと前置きしてから、君は一度僕から離れて何かを持ってきた。渡されて見てみれば、あまり有名ではない歌手のCD。

「その曲聞いてたんです」

「ふぅん…」

「もし、おんなじ立場になったら悲しいなって思ったら勝手に涙が出てきちゃいました」

えへへ、と笑う君を見てその曲に興味を持った僕は、コンポの再生ボタンを押した。

流れてきたのは別れの歌。
恋人とバイバイして別れた後に事故に遭って、植物状態になってしまった自分。
でも本当は少し離れた位置から見下ろす様に認識してて、毎日毎日会いに来てくれてる恋人に、嬉しさと申し訳なさを感じながらそれでも機械に繋がれて生きている。
恋人は自分の前ではいつも笑顔でいてくれるのだけど、ある日看病疲れか病室で寝てしまった時に涙を流したのを見て、さよならしようと決めた……
そういう悲しい歌。
最後のフレーズが妙に明るくて何故か耳に残った。

そうして聞き終えてみれば隣で綱吉がまた泣いていて、僕の服の袖をギュッと握っていた。まるでその手が遠くへ行かないでと言っている様で、安心させる為に小さな体を抱きしめる。

「入り込みすぎだよ綱吉」

「ずびばぜん」

ズビーと鼻を啜る音に苦笑して、ポンポンと頭を撫でる。
…確かに感動する歌だけどね、それで涙まで流してしまうと言うのは僕には分からない。僕は事故に遭ったりなんてしないし。
でももしも、

「……もし同じ立場になったら」

「え?」

曲を聞く前の綱吉の言葉を思い出して呟いた僕に、聞き漏らさない様にと君は涙で濡れた顔をこちらに向ける。

「何が何でも回復してこうやって抱きしめてあげるから」

「…ヒバリさん」

それはみるみるうちに笑顔でクシャクシャになった。



『さよならベイビーまた会う日まで笑っていてね』







end*

思わず泣きそうな程の感動系の歌やお話が好きです。

因みに文中の歌は私の創作で、実際にはありません;







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あきゅろす。
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