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了綱 4/25
※『例えばの手紙』から派生。
シリアス、死ネタです。
「手紙?」
「はい。……ボンゴレからです」
「何?!沢田からかっ!」
牛柄の子供、ランボが眉を顰めた。しかしこれが大きな声を出さずにはいられないだろう。
沢田は数日前ミルフィオーレの奴らの手によって亡き者となったのだ。もう意思の疎通など出来ないと思っていたのだから。
だがそうなるとこの手紙の意味は。
「遺書…か?」
尋ねれば黙って頷く。…こんな子供には辛かっただろう。
「そうか。すまん。確かに受け取ったぞ」
「…では」
出来るだけいつも通りに笑いかけると、あちらもぎこちなく笑って俺から離れていった。
「……沢田、お前の遺書を読む事になるとはな」
しばらく封筒の文字を見つめ、感傷に浸ってから便箋を取り出す。
『逞しいボクサーであるあなたに認められたのだから』
書かれた言葉に思わず笑みが零れた。やはり沢田は、俺が認めた男だ。
そういえばランボも、葬式に見た時より随分目付きが頼もしくなっていたな。
「お前はこうやって、皆を包み受け入れて行くんだな、沢田」
窓の外をふと見上げてみれば、青空の中に太陽。
「…何故だろうな、また会える気がするぞ」
もし本当に再び会えるならば、笑われぬ様に。
「やれる事をやっておくぞ、極限にだ!」
外に向かって宣言すれば、太陽が熱を増し空が微笑った気がした。
end*
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