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ランツナ 4/22
※『例えばの手紙』から派生。
シリアス、死ネタです。
あの重苦しいボンゴレ本部には居たくないと、故郷ボヴィーノに帰って数日。ボスを失ったボンゴレは悲しみと混乱の中で、辛うじてリボーンと守護者が支えている。
分かっている、俺だって雷の守護者だ。こんな状況で逃げ出す事など許されない。甘やかされたい訳でもない。ただ、あの人の居ないボンゴレなど恐ろしくて見たくなかった。
「…結局逃げたんだ」
情けなくてやる瀬なくてギュッと瞼を閉じる。その様子を見ていたファミリーが休めと声を掛けてくれたのに、頷いて部屋に戻る。
(いつかの様に、あなたが迎えに来てくれたなら…)
無意識の願望に自嘲して部屋のドアを開けると、ヒラリとその隙間から何かが落ちた。
「…手紙?だれ……っ、」
ボンゴレからだ!焦って取り落としそうになって慌ててキャッチして、室内に入りドアを閉めるとその場で封筒を開く。
文字を目で追っていく速度が徐々に落ちていく。
(遺書、ですか)
当たり前の事なのにその事実は胸を締め付ける。やはりあの場所にあなたは居ない。
(…でもここに居たってそれは同じ)
『期待してるよ』
俺への言葉はそう締め括られていた。俺はきっと素晴らしい戦士になると、そう信じてくれて。
「…あなたはいつだって俺の欲しい物をくれた」
優しさや温もり、信頼や期待。
「俺は、あなたに何をあげられたのだろう」
『ランボは強くなるよ』
あなたは不安になるとそう言って変わらない笑顔を向けてくれたんだ。この手紙だって。
「…なら、俺はあなたの期待に応えたい」
さぁ、今すぐ荷物を纏めよう。帰るんだ、ボンゴレへ。
end*
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