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山綱 4/19


『例えばの手紙』から派生。
シリアス、死ネタです。
























朝早くツナの部屋の前で獄寺に会った。

「お前…」

「…よっ、獄寺!」

「……」

獄寺の目は僅かに赤く、瞼も腫れていた。その原因なんて分かりきっていたから気付かない振りをしておく。

「何となくさ、来ちまった。居ないなんて分かってるのにな」

そう言って笑ってみせると、獄寺は眉を寄せる。こんな時に笑ってんじゃねぇって、怒鳴られるかも。そう思ったがため息と共に吐かれた言葉は。

「…こういう時、十代目なら何て言うんだろうな」

「ん?」

「お前。目が笑ってねぇよ」

「!獄寺…」

「おらよ」

獄寺は俺に何かを押し付けてツナの部屋から遠ざかる。呆気に取られたまま見送った俺は、苦笑して頭をかいた。

「ツナなら、ね」

呟いてから、折角譲って貰ったからとツナの部屋に入る。整理されたと聞いていたけど、まだ部屋の主が使っていた時とほとんど変わらない。どこかふんわりと甘い匂いまで残っていた。

「…そうだ、さっき何渡されたん……、!」

『愛する皆へ』

手紙…ツナからの、手紙だ。気付いた途端情けなく手が震え出した。落ち着けと言い聞かせながら中の便箋を取り出す。

『武 俺はずっと野球選手山本武のファンだからね。』

その手紙を読みながら、少し昔を思い出した。
俺が正式に守護者になると決意した時に、ツナが『この手は野球の為の物だったのに』と涙した事が合った。その時に野球も続けていくと、アイツに誓ったんだ。それでツナが負い目を感じない様にと。だけど違った。本当はどこかで続けたいと、そう思っていたのを俺より敏感にツナが感じていたんだろう。だから死して尚こうして…。いや、今度は野球より大事なものを失った俺の為か。

「ツナは良いやつなのな」

どこまでも本当に。

『こういう時十代目なら何て言うんだろうな』
獄寺の言葉がもう一度浮かぶ。分かってるよ。

「…無理に笑わなくて良いんだよ、だろ?」

どこからか風が入って髪を撫でるのに、いつもみたくツナがフワリと笑って頷いた気がしたから。
…少しだけ甘えて泣いてみようか。







end*





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あきゅろす。
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