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獄綱 4/16
※『例えばの手紙』から派生。
シリアス、死ネタです。
「……ックソ!」
その手紙を読み終えると、俺は沸き上がる激情に任せてデスクを叩きつけた。
十代目が亡くなってから三日後の事だ。リボーンさんが夜遅く俺の部屋を訪ねて来て一通の手紙を渡してくれた。
『愛する皆へ』
見慣れた文字にギクリとしてリボーンさんを見れば、彼にしては珍しく苦笑を漏らして。
「アイツの事だから用意してるだろうと探したら、案の定な。…一通しかねぇから乱暴に扱うんじゃねぇぞ」
と言い残して去って行ってしまったのだ。
それから部屋で一人、一つ一つ書かれた言葉を噛み締める様に読んでいくうちに、最期まで全て受け入れた貴方の偉大さと守れなかった自分の不甲斐無さを思い知った。
「…遺書、なんて」
まだ貴方が逝ってしまったと認めたくなかったのに。
これでは、認めざるを得なくなるじゃないか。
「…っ十代目……!」
貴方の笑顔が脳裏に浮かぶ。
手紙を持つ右手を額に押し当てても溢れ出るそれを止める事など出来はしないのだ。
(貴方はどこまでも、俺を包んでくれたのに…)
(ここに貴方は、居ない)
end*
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