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SS
獄綱※ 3/19


ツナが病んでます。かなり暗いです。
それでも良ければスクロール↓



























「獄寺くん」

ヒタリ、と足音を引き連れて広い廊下をさ迷う蜂蜜色。
譫言の様に誰かの名を呼びながらフラフラと歩く様はさながら夢遊病者。

「獄寺くん獄寺くん獄寺くん獄寺くん獄寺くん獄寺くん獄寺くん獄寺くん獄寺くん獄寺くん獄寺くん獄寺くん獄寺くん獄寺くん獄寺くん獄寺くん獄寺くん獄寺くん獄寺くん獄寺くん獄寺くん獄寺くん獄寺くんごく」

「十代目!」

壊れたレコードの様に繰り返す名前がふと遮られたかと思えば、蜂蜜の彼は抱きすくめられた。
カクリ、と人形の様にぎこちない動きで振り返ればずっと呼び続けた“獄寺くん”が居て、フワリと微笑む。

「獄寺くん、見つけた」

すると困った様な顔で獄寺は微笑み返した。

「大人しく待っていて下さいと言ったでしょう?」

「だって、いつまで待っても帰って来ないんだもん」

ぷうっと頬を膨らませる彼に、年齢不相応の幼さを見て獄寺の表情は陰る。容姿だって出会ったあの時からほとんど変わりを見せない彼に哀れみと責任を感じているのだ。
何故なら、“ボスとしての彼”は強く威厳に溢れ、必要あらば冷酷さも兼ね備える別人となるから。
これは、彼がボスとなる事を願い、側に仕え、強さを請い羨望しその上で甘やかした自分のせいなのだと、獄寺は唇を噛み締めた。

「……すみません」

人格を二つに別ち心を閉ざした彼が唯一自分に心を許してくれている限り、いや、例えそれが無くなったとしても永久に彼に仕えようと、彼をきつく抱きしめた。

「クスクス。獄寺くん、苦しいよ」

「……すみません、戻りましょうか」

「うん。ねぇ、ココア飲みたいな」

「分かりました」



これ以上壊れてしまわない様にと願いながら……







end*




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あきゅろす。
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