SS
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「うわ…」
ラッピングされた袋や箱の山。堆く無造作に盛られたそれを視界に入れて、綱吉は感嘆とも呆れとも取れる声を上げた。
「すごいですね」
「そう?」
その感想に興味なさそうな返事を返して、雲雀は腕を組む。
「バレンタインなんて、面倒なだけだね。処分するにも費用が要るって言うのに」
「……ヒバリさん」
モテる故の苦労を聞かされたモテない綱吉は苦笑して、その中の一つを手に取ってみる。あげた相手は全て処分すると言うのだから、綺麗な字で雲雀さんへ、と書かれたカードを見ていると少しだけこれを食べてほしかっただろう女の子に同情する。
もしかしたら自分も同じ結果になるのかもしれない。勢いで用意してしまったチョコレートがあるのだが、そう思うと渡しづらく、タイミングを完全に逸していた。
(ヒバリさんがこういうの好きじゃないって、忘れてた)
捨てられるぐらいなら、渡さないでおこうか。いや、でも折角用意したのだから、と一人悶々としていた。
対して自分への贈物を持ったまま固まる綱吉に気付いて、雲雀は眉を寄せる。
「…それが欲しいのかい」
「え?」
一瞬意味が読み取れず綱吉が聞き返すと、徐に近寄ってその手に持つ箱を雲雀がひょいと取り上げた。
「でも、あげない」
不敵な笑みでそう言われてしまって思わず見とれていると、雲雀が何やら学ランのポケットから小さな箱を取り出し投げて寄越す。
「わわっ。な、なんですかこれ?」
「チョコ。それあげるから」
「ふぇ?………ええ?!」
混乱する綱吉が雲雀と箱を交互に見て、その意味に気付いた直後、顔から煙が出そうな程真っ赤に染まった。
どうやら雲雀が直接用意したらしいそれを大事に持ち直してから、慌てて自分の鞄を漁り、中から取り出した袋を雲雀に差し出す。
「おっ俺も、ヒバリさんに…」
雲雀はそれに微笑んで、差し出された袋を手の平ごと包み込んで綱吉の額にキスを贈った。
「ヒバリさん…ハッピーバレンタイン」
end*
甘々(^人^)
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