SS
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「ちょっと」
「痛でっ?!」
ゴン、と鈍い音を発して直撃したトンファーに声を上げ、綱吉は身をよじった。
「何するんですかヒバリさん!」
「それは僕の台詞だよ」
その様子にため息をつかれた事に理不尽な、と零しつつ涙目で見上げると、見るからに不機嫌な雲雀に見下ろされる。
「何?今の作戦」
先ほどまで開かれていた会議で、膠着状態にあった敵対ファミリーとの会談についての作戦が話されていたのだが、どうやら雲雀はその作戦が気に入らなかったらしい。
「何か問題でもありますか?」
「なんで僕が待機な訳?」
会談と言っても結果戦闘に縺れ込むことは目に見えているので、それぞれ守護者達もそのつもりで役割も与えられているのだが。
雲雀の質問に困った様に頬を掻く仕種をして、綱吉は答える。
「向こうの指定なんです。俺とランボを連れて来いって」
理由は聞きたくないですけどね、と続けて苦笑した綱吉に眉を寄せてから雲雀は彼の頬を引っ張った。
「…いひゃいれす」
「怖い癖に、笑うな」
確かに雲雀の言う通り、抗争に発展した時が綱吉は怖いと思う。まだ幼いランボはエレットゥリコ・コルナータの扱いすら不安定で、何かあれば自分が身体を張って守らなければならない。
そんな心境の中でも、雲雀の怒った様な表情の中に心配の色が見えて、それだけで綱吉は安堵してしまう。きっと上手く行くだろうと、彼が味方である事が何より心強いのだ。
「…確かに怖いです」
頬を解放されるとまた懲りずに微笑んで、綱吉は雲雀を見つめた。
「でも、何かあったらヒバリさんが助けに来てくれるでしょ?」
信頼仕切った綱吉のその言葉に僅かに驚いて目を見張り、雲雀は口角を上げる。
「……決め付けられるのは好きじゃないな」
「じゃあ、お願いします」
「良いよ。その代わり、待機場所は一番近くにしなよ」
「勿論!」
そのつもりです、と綱吉が答えれば、満足げに雲雀はその頭を撫でて離れて行った。
(全てが終わった時に、真っ先に会いに行けるように)
end*
+5年後ぐらい。
信頼し合うって素晴らしい。
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