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ヤマツナ 2/22


日が沈み始めた放課後、グラウンドの隅に俺はポツンと佇んでいた。
黄昏れている訳ではない。ある人を待っているのだ。
彼はついさっきまでここで部活動に励んでいて、終了した今は部室に着替えに行っている(一緒に来ていいって言われたけど、断った)。

「わり。待った?」

「大丈夫。お疲れ山本」

いつもの爽やかな笑みで走って来た山本に労いの言葉を掛ける。だってさっきの練習でも人一倍動き回っていたから。

(でもあんまり疲れてなさそう)

俺があんなに動いたら今頃バタンキューだろうけど。山本はすごくタフだ。

「ツーナ」

「なに?…わっ」

ボーッとしてたら名前を呼ばれて頭をワシャワシャされた。

「サンキュな。待っててくれて」

「ううん。俺が勝手に待ってただけだし」

山本見てたら飽きなかったよ、そう言うと俺も、と返される。

「ツナが居たからいつもより張り切っちまった」

その言葉で十分照れてしまったのに、山本は更に追い打ちをかけて来る。

「なぁツナ、次の試合、ツナの為にホームラン打つぜ」

「え!?」

「だから、見に来てほしい」

「絶っ対行く!」

「本当か?ツナが居れば百人力なのな!」

山本は嬉しそうにまた俺の頭を撫でて、ぎゅうっと抱きしめてきた。どこまで俺を喜ばす気だろう。嬉しくて恥ずかしくて発火しそうだ。

「ホームラン、打つから」

「うん」

有言でも不言でも山本は実行するタイプだ。やると言ったら本当に打ってくれるだろう…俺の為に。

(俺の為に、か)

「…えへへ。山本ありがとう!」

「?おう!こっちこそサンキューな!」

濃くなっていく赤い赤い顔は、バレないように夕焼けに隠してもらった。







end*

ツナは照れ屋さんだと思います*




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