二年前、沢田綱吉がボンゴレ十代目に就任すると共に俺も正式な守護者となり籍をボンゴレに移した。同時に俺の故郷ボヴィーノはボンゴレの同盟ファミリーとなった為(九代目と十代目の配慮だろう)、二つのファミリーの行き来がほぼ自由に許された。
(久しぶりにボンゴレに帰ってきた…)
しばらくボヴィーノに里帰りしていたのだ。もう、当分はあちらに帰らないかもしれない。そう思って
「ふぅ……、わっ!?」
無意識にため息をついたところで唐突に体がカクン、と折れた。
ビタン!と派手な音を立てて床に仰向けで張り付いた俺の目に映る、ハニーブラウン。
「…えーと、」
どうやら膝カックンされたらしかった。犯人は気まずそうに俺を見下ろしている。まさか倒れるとは思わなかった、そういう顔だ。
「大丈夫?ランボ」
「…なんとか」
差し出された手を取って起き上がると埃を振り払う仕草をする。まぁ実際ボンゴレ内は掃除が行き届いているので埃はないけれど。
「まさか倒れると思わなくってさ」
ほんの悪戯心だったんだ、と彼は苦笑する。
「…まぁ良いですが。ツ…、ボンゴレ」
「良いよツナで」
呼び慣れたあだ名で呼びかけて顔をしかめると、目敏く見付かってしまい。更に顔をしかめる結果に。
「いえ…そういう訳には」
辞退すると表情が曇ったから、少し焦る。
「いえ、あの…」
しどろもどろになってフォローしようとすると、彼が何か思い付いた様でニパッと笑った。
「じゃあさ、二人の時は昔みたいに呼んでよ」
「え」
「“あちら”に何を言われたか知らないけど、俺とランボの仲は変わらない。そうだろ?」
少なくとも俺はそう思ってるよ、と俺の頭を撫でた彼に思わず飛び付きそうになるのをぐっと堪えた。
(俺だって……)
「じゃ、これ命令ね。次二人の時ボンゴレって言ったらぶっ飛ばすから」
「え?!…あの、ボ…ツナ!」
そのまま押し黙っていると少々物騒なお仕置き(?)まで決められてしまい、反論の間なく彼は去って行った。
残された俺は呆然と立ち尽くしてただ彼の名を反復するしかなくて。
「…ツナ」
あの人はいつだって俺に甘いんだ。
end*
ツナはランボをすごく可愛がってると思います。