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SS
ヒバツナムク 2/11


下校時刻、今日は獄寺くんも山本も用事があるから一人で帰らないといけない。
みんなで帰るのってすごく楽しいから、時々こういう日があるとすごく寂しくなってしまう。

「早く帰ってゲームでもしよっ」

呟いて、玄関口を出た所で何やらいつもと雰囲気が違うことに気付く。

「何だろ…校門が騒がしい」

そして女の子が集まっているような。まあ自分には関係ないかと、素通りし掛けたその時だった。

「綱吉君」

女の子の輪の中から男の声が俺を呼んだ。この低音、それにこの悪寒。

「骸?!」

振り返れば確かに特徴的な髪型にオッドアイを持つ黒曜生が居た。
骸は笑顔で女の子達に手を振り、俺に近付いて来る。…うっ、彼女達の視線が痛い。

「何しに来たんだよ?並森だぞ!ヒバリさんに見つかったら」

「僕に見つかったらなんだい?」

言葉の途中で背後からの声に遮られて、俺は顔から血の気が引くのが分かった。

「ひひ、ひば」

「おや雲雀君」

振り返るとヒバリさんが不機嫌そうに口角を思いっきり下げていた。俺が無駄に吃ったからか、骸が君付けで呼んだからか。多分両方だ。

「黒曜生が並森に何の用だい」

俺を一瞥してから、ヒバリさんは骸を睨みつける。…正直怖い。

「貴方に用はありません。綱吉君のお迎えに来ただけですから」

骸はそれを受け流して何故か俺の肩に手を置いた。向こうの方でキャーと黄色い声(?)が上がったけど何がキャーなんだろ。

「それは必要ない。綱吉は僕と帰るから」

「え?!」

びっくりして聞き返すとヒバリさんに睨まれてしまった。だって、今一緒に帰るって言った…ヒバリさんが群れる?…雨が降るかも。

「勿論断らないよね」

失礼な事を考えた俺に、ヒバリさんが笑顔で駄目押しをしてくる(また女の子達がキャーって言ってる)。その笑顔がどこか優しいから、俺は思わず首を縦に振り

「いでっ」

…掛けて骸に止められた。

「それは困ります。折角来た意味がなくなる」

「イタタタ!骸!く、首!」

「…ああ、失礼」

失礼じゃないよ全く!あー痛い。
首をさすっているとヒバリさんにその手を掴まれた。びっくりして見上げるとぐいっと引き寄せられる。

「わぷっ!」

ヒバリさんの胸に顔をぶつけ、慌てて離れようとすると今度は後ろから骸に腰を引き寄せられた。そのせいで中途半端に引きはがされる。
何なんだこの状況……。
まるで子供の手を引っ張り合わせて母親を見極める大岡越前の話だな、とどこか他人事のように思った。

「…いい加減咬み殺すよ」

「クフフ、やってみますか?」

「!!ちょっ…」

俺が現実逃避している間に二人の睨み合いがヒートアップしてしまったみたいだ!なんかギャラリー増えてるしこんな所で闘われたら死人が出るぞ?!

「ストップー!!」

危機を感じた俺は思わず叫んでいた。突然ダメツナが叫んだとあってその場の全員が唖然としてる。あ、なんか泣きそうだ。

「…あの、分かりましたから、みんなで帰りませんか?」

「………」

「………」

半ば投げやりで提案すると何故か二人は困った顔をしてため息を零す。この二人ちょっと似てるよな。

「仕方ありませんね」

「仕方ないね」

「えっ良いんですか?」

確認すると二人は頷いてそれぞれ俺の手を取った。

その日、奇妙なスリーショットにすれ違う人全員が二度見をしてから逃げ出して行った。
二度見は良いとして、逃げ出していくその理由は絶対に知りたくない。







end*

え、長……
SS?SSって何文字までがSS?
いやでもこれはSSだ!と言い張る←

後半で二人が困った顔をしたのは綱が涙目だったからです♪




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あきゅろす。
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