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SS
ヤマツナ 1/30


「や、山本?」

小さな手をぐいぐい引っ張って速足で歩く。

「悪いツナ、ちょっと速い?でももうすぐなのな」

名前を呼ばれて振り返らずにそう答えると、少しだけ速度を落とした。

「もうちょっとって、どこ行くの?」

「ん…屋上!」

今の時期は陽が落ちるのが早い。だからこそ短時間で味わえるそれは……

バン、と勢い良く屋上の扉を開けると、遅れて入って来たツナに視界を明け渡した。

「……わあ!綺麗な夕日!」

「だろ?」

そう、俺がツナに見せたかったのはこの夕日だ。冬の空は澄んでいて星が見やすいと良く言うが、夕日も綺麗に見えると思う。

熱心にそれを見つめるツナは気付かないが、後ろをちらと振り返ればそちらの空は既に暗い。
町だけでなく俺たちを真っ赤に染め上げる太陽はあと少しで沈むだろう。そうしたら今度は、夜の景色へ変貌を遂げるのだ。それは冬の日が短い間のちょっとしたプレゼント。

「山本、ありがとう!」

ツナと見たいと思った、並森の景色。







end*

短く纏まり(?)ました。
夕日→夜なんていつでも見れんじゃん!って思った方。
冬の変化の早い空は特別な感じがしませんか?




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あきゅろす。
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