「ヒッ!」
暮れの早い冬の夜道を二人で歩いていると、綱吉が悲鳴を上げて学ランの袖を握ってきた。
「何」
「あああそこ、何か光りました!」
フルフルと震える指が差す暗がりを見やると、ため息が溢れる。
「……猫じゃないの」
この異常な怖がり様は、放課後応接室に来た時既にあった。どうせクラスで怖い話が流行ってるとか、そういう理由だろう。
「ヒィッ!また光った〜!」
「!」
綱吉はまた声を上げて、耐えきれないとばかりに今度は僕にしがみついて来た。
…仕様のない子だね。
「綱吉」
「ヒバリさ…!」
その華奢な身体をギュッと抱きしめて、視界も、匂いも、音も、僕で一杯にしてしまう。しばらくそうして、やがて身体を離すと笑って見せる。
「僕が居るから、怖くなんてないでしょ?」
「……はいっ」
頷いた綱吉は怖い話なんて忘れた様に、真っ赤な顔ではにかんだ。
end*
怖がりツナと、そんなツナに対して自信たっぷりの雲雀さんのお話。