SS
ゴクツナ 1/24
人懐っこい笑顔に手を振って、反対側の道に別れる。
「お気をつけて!」
と、背中に気遣う声が掛かるのを聞いて歩いて行く。
いつもはそれでバイバイ。
ただなんとなく、今日は違った。
獄寺くんから見えなくなる角を曲がって、ちょっと経ってからひょっこり覗いてみたんだ。
「……あ」
まだ居る。でも、目がちょっと切ないのは気のせいかな…?
「十代目?」
「!」
名前を呼ばれて、目が合った瞬間、獄寺くんは満面の笑みを俺に向けた。すごく嬉しそうな顔を見てると…
「…あれ?」
な、何だか…顔が熱い!
「…バイバイ!」
無性に照れくさくて、顔に熱が集まったようになって、俺は逃げるようにその場を後にした。
*****
お別れを言ってから見えなくなるまで、十代目を見届けるのが俺の日課。
それに十代目が気付く事はない。
だがいつか気付いてくれるのではないか、振り返ってくれるのではないかと期待してる俺が居たりする。
今日も同じ、はずだった。
「十代目?」
道の角を曲がったはずの十代目がひょっこり顔を出していた。
…ぷ。可愛い。
思わず呼ぶと、顔を真っ赤にして慌てたように駆け出して。
「……十代目、」
いつだって俺の望みを簡単に叶えてしまうんですね。
あなたが駆けて行った後、俺もつられて赤くなったなんて、あなたは知らない。
end*
ちょっとしたいつもと違う行動で、恋に落ちたツナと獄寺の話。
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