優雅な音楽。煌びやかな衣装や装飾。沢山の料理。
綱吉は同盟ファミリー主催のパーティーに参加していた。護衛には骸。
ボンゴレと聞いて集る様に挨拶に来る人の波から逃れて、ホールの隅で息を付く。
「…はあ」
「おや、ため息なんてついて。もうお疲れですかボス?」
からかう様に聞いてくる骸をじと、と睨んで再びため息。
「…愛想笑い、媚び、社交辞令。そんなのばっか。疲れるなって言う方が無理だよ。疲れないの、お前」
心底飽き飽きだ、とばかりに吐き捨てる綱吉にやれやれと肩を竦めて、骸はとりあえず頷いた。
「僕はもっと汚い感情を知ってますから」
その言葉にハッとした様な顔をして、綱吉は微かに頭を下げた。
「ごめん」
「謝る事はありませんよ。それに」
そこで骸は一旦言葉を区切り、ホールの中央を見る。綱吉もつられて後を追うと、丁度演奏が切り替わり、参加者達が集まり出していたところだった。
流れる生の演奏に合わせて手に手を取って踊り始める様子を視界に入れていると、不意にそれが青でいっぱいになる。
「…どちらかと言えば、君が次から次へと他の者の手を取る様子を見る方が疲れる」
「骸それって…」
確認する前に、紳士的に手を取られる。
「逃げませんか?」
視界の奥で、“ボンゴレ”と踊ろうとする女達が自分を探しているのが見えた。眉を寄せて、すぐ様手前の青に意識を戻す。
「…良いよ。連れ出して、骸」
自分を見るとふ、と笑った綱吉に微笑み返して、骸は取った手に唇を軽く押し付けた。
「仰せのままに」
パーティーホールの一角から広がった霧はやがて全体を包み、花の雨と変化する。
そのサプライズと引き換えに姿を消した二人に、気付く者は居なかった。
end*
連れ出して、ってセリフ、良いなぁと思ったり(笑)