SS
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カミサマは不公平だ、と骸を見ていると思う。
整った顔立ち、長い手足、綺麗な言葉、抜群の運動神経に頭脳、まぁ性格は幾らか問題があるけれども、これで性格まで良いとなると本格的に自分の存在に疑問を抱いてしまう事態に陥るだろうから、それは黙認。
だけどそんな骸が、平々凡々もしくは並以下の俺を好きだと言うのだから世の中分からない。
(本当なんでだろう)
「綱吉君?」
考え事をしていると前方から名を呼ばれて、慌てて意識を戻すと色違いの目が俺を捉えていた。不覚にもドキッとしてしまうと、見透かすようにクスリと微笑まれて顔が熱くなる。
「何を考えているのですか?」
「あ、えっと…」
お前のことだよ、とは言いにくい。
何となく視線を泳がせると両手で顔を挟み込まれて再び赤と青に捕われる。その視線にくすぐったいような感覚がして目を細めた。
「カミサマの不平等について、ちょっと」
「何ですって?」
頬っぺたを包む格好のままスルリと目尻をなぞる骸は、かなり優しい目つきだ。
「…誰かさんばっかり、色々持っててさ」
「おや…クフフ。ありがとうございます」
「お!お前のことなんて言ってないよっ」
「そうですか」
(…なんで分かるんだろう?)
心の中で首を傾げると、骸がですが、と言葉をくれる。
「その"誰かさん"が持ち得ない物を、君は沢山持っているでしょう?」
分からなくて、例えば?と聞くとすかさず愛情、と返ってきた。…ああ、なるほど。
「そうかもしれない」
「人は誰しも自分の持ち物だけでは満足いかない、無い物ねだりをする生き物だ」
「骸も?」
「ええ」
「意外」
「褒め言葉として受け取っておきましょう。…ただ、足りない物を奪うだけでなく補い合う技術を持ち得ている」
少し俺には難しい。ううん、と唸ると骸は微笑んで俺の額にキスをくれた。
「君が僕に愛情をくれたように、ね」
その行為と言葉の甘さに赤面すると、クフフと笑われてしまったけど。
「俺で良いなら、いくらでもあげる。だから骸も」
「ええ。出来得る限り差し上げます」
end*
分かっていても隣の芝生は青い、ですよね。
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