いつだって君が居れば僕は強くなれるのです


時刻は深夜。
外は静寂。
腕の中の恋人は、何故かどうにも不機嫌顔。





いつだって君がいれば僕は誰よりもつよくなれるのです








自分でも柄ではない事を知ってはいるが、俺は人の体温が好きだ。一通り抱き合った後に肌と肌を余すところなく触れあわせて眠るのは、一層好ましい。女々しいとわかってはいるが、上がっていた息を飲み込んで、ゆっくりと静まっていく恋人の、ティーダの鼓動を肌で感じていたいと思う。のだが。


当のティーダはそういうのがあまり好きではないらしい。俺に言わせれば俺以上にイメージではない。出したら終わりとかどういう事だ。全くもって冷たい、…と思いながらも触れていたいのが俺の愚かしい所だと思うが。
あっついじゃないスか、というのがコイツの言い分だった。

そんな微妙に噛み合わない、でもどうにも幸せで気だるい空気、俺の腕を枕にしているティーダは、何故か今、物凄く…

「…不細工」
「なんだと!俺だってザナルカンドきってのイケメンとよば…ってもー、近いって!近い近い!…だって仕方ないだろ」
「何が」
「なんか今日、スコールしつこかったってゆか、なんか…ねっとり…?疲れたっス…」


…どれだけ失礼なんだこいつ。
しつこいとはなんだ。ねっとりとはなんだ。


「気に入らなかったのか?そのわりに…」
「ちがくて!」

ティーダは頬を膨らませたままごそごそ移動して、俺に背中を向ける。
考えてもよく分からないので、とりあえずむき出しになっている首筋に唇を寄せた。背を向けるのが悪い。

「んぎ!…だから〜!」

首だけ振り返った所にもうひとつキス。途端に真っ赤になるあたりが可愛い、言わないが。


「だ、だから嫌なんだ」
「…?」

もう一度俺に向き直ったティーダはまだ赤い顔のままぎゅうぎゅうと抱きついてきた。なんだお前。

「スコールはなんでそんな、へ、平気なんスか…」
「なにが」
「は、恥ずかしくないのかよ!」

「俺は、終わったあと、こんな風にすると、またちょっとたっちゃうし、はずかしく、って。
スコールは平気な顔だから、俺だけ、なのかなとか…思うし…だから、さわんなって言ってんのに、聞いてくれないし…」





…なんだこの生き物。
顔面が溶けるかと思ったぞ。
多分俺は今全身赤い。


「…だから、いつも触るのを嫌がったのか?」
「〜、ん」



(今なら装備無しでカオスに勝てる気がする…)


「、わ、笑うなよ!」
「嬉しいからな」
「…ばか」

顔を上げるために、少し離れたティーダの頭を力いっぱいにだきしめた。うにゃうにゃとうめいている声ごと閉じ込めて、笑う。

「俺だって、たつ」
「…え、た?………っわ!!」
「ほらな」


今度こそぎゃあと叫んだティーダにもう一度キスをおとして、抱きしめる。
触れ合った肌がやわくて、今度こそ顔面が溶けてしまいそうだった。





/わが最愛のパンツ職人に捧ぐ。




あきゅろす。
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