平和島にゃんころ
「ぬぁあああ…」
「シズちゃん…」
「ぬあああああっ」
ああ全く予想を裏切らないこの男。いやむしろ斜め上。
いつだってそうだこいつは…こいつだけは、本当に。
臨也の脳内では疑問と『ソレ』の完成度への不満、あとどこか納得している自分への苛立ち。そんなもので溢れていた―――。
「百歩譲って、君にネコミミなるものが生えるのはよしとしよう。萌えるじゃないか、恋人プラスネコミミなんて男のロマンだよねぇ?君はガタイは良いけど顔はかわいらしい方だし?結構似合ってるって言っても良い」
「……」
「けどねぇシズちゃん…俺は思うんだよね」
「……」
「なんか言いなよ」
「…ぬぁぁ」
ああ、ネコだからね。思考も馬鹿になってんのかな?元からかな?
臨也の脳内では逃避が繰り返される。ネコミミ、良いじゃないかわいいじゃない。
「ほんっと…えええ…ほんと」
「ぬぁ?」
首かしげ、かわいいじゃない。やだー勃起しちゃう。萌え……
「ぬぁあああ」
「…ねええ!!!ぜんっぜんテンション上がらない!!なにその声どーゆー事!!オッサン丸出しじゃんネコならネコらしく『にゃっ…にゃあ…んっ』みたいな感じのでお願いしますよまじで馬鹿じゃないの無理やり風呂いれた野良みたいな声出すなよ!!」
「ぬぁ……え、気持ち悪い」
「うるっさい!ってあれ、喋れんの?」
「ぬあぁぁん」
どっちだよ、とうなだれる。
てかわざとかよ。いっそわざとじゃないの。
切ない気分になりながら静雄に生えた黒いネコ耳をなでる。くすぐったそうに身をよじる姿はやっぱりかわいく思える。鳴きさえしなければ。
「はふっ…なぁ…んっ」
のぶとい声に、甘い吐息が混ざりだす。やはりそうか。古今東西ネコ耳は性感帯だと決まっているものだ。これは誰が決めたでもなくそうなっているものなのだ。
「感じちゃうの?静ちゃん、ねえ耳がきもちいいの?」
「はうっあっあん…なあんっ」
かわいい気がしてきた…!いける気になってきた臨也は、ゆらゆら揺れる静雄の腰には敢えて触れずにひたすら耳をいじくり回す。
甘噛みしてみたり、なでまわしたり、息を吹き掛けてみたり。
そうすると次第に静雄の息が荒く、はやくなっていく。
「んぁっあ、あ、あっ」
「いきそう?いいよ、いっちゃっていいよ!」
「あ、あ、あっ」
「ぬあああぁぁんっ」
感極まった事だけはちゃんと伝わった。と言うのが後の臨也の言葉だった。
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「うん萎えた」
すまない…
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