やっと目をみてくれた
殺せ、殺してしまえ。
胎内で叫ぶ声に意識を委ねて眠る。
殺してしまえば楽になれるとわかっていた。
こうやって、夜中に悪い夢を見る事もなくなる。
いっそ、その存在さえも無くしてしまえば、そうしたらきっと。
いつだって、2人は相容れなかった。
暗い目をしたお互いが、愛しく思えるわけがないとは今になってからの感想だ。
出会った瞬間からお互いに感じ取っていたあの感触。
憎い、存在が、疎ましい。合わない視線が狂おしい。
そして臨也はそれすらも人間の感情として受け入れ、静雄はそれを理解すらしなかった。
それはそう、その時から変わらない。いまでも。
殺してしまえさえすれば、この感触から解放される。
眠れない夜を越える事が出来る。
そうして、そうしてその時初めてお互いがお互いを理解し愛を交わすのだ。
それがわかっていた。本能で、あるいは、知識として。
きっとそれはとても甘く、温かく、気持ちいいだろう。
ぶちまけられたソレを浴びながら交わす愛はきっと何よりもトロリと甘美。
殺してしまいたい。
眠れない夜をシーツで遮断して只管にいつか来るその時に想いを馳せた。
きっと、甘くて、それから、とても悲しい。
一度として交わす事のなかった瞳は、その時にならないと見る事さえかなわないのだ。
/眠れない夜に妄想するのは果たしてどちらなのでしょうかって話でひとつ。
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