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メローメルト







窓から差し込む温かな陽にふわり香る朝の匂い。眠りから覚め、手探りで温もりを探す。
昨日から今日にかけて蕩けるほど愛した彼。しかし、シーツに少しの温もりを残して消えていた。

「………あ?」

まさか帰ったのだろうか。閉じていた瞼を開けると、ぼんやりと天井が広がる。くぁーと欠伸をし目を擦り、隣を見やると新八のメガネがちょこんと置いてあった。
命の次に大切なメガネを置いてどこに行ったのだろうか。床には脱ぎ捨てた服が散乱している。

「え、まさかお前メガネになったんじゃ…って、ねえよ」

朝から馬鹿げた発想が浮かび苦笑する。トイレにでも行っているのだろう。そう思い寝返りを打ち、枕元に置いていた携帯電話をぱくり開くと画面は真っ暗だ。
新八と交わる最中を邪魔されたくない銀八は電源をオフにしていた。親指で電源ボタンを長押しすると、眩しく画面が光る。

「う、は。なんだこりゃあ」

携帯電話が生き返るとメールが次々に受信され始めたのだ。バイブに設定しているためブルブルと手のひらで震える。
驚き声を上げるとカチャリとドアが開いて新八が現れた。濡れた髪をタオルで拭ってこちらを不思議そうに見た。

「って、お前その格好…」
「あ、すみません。着替えがなかったんで先生の借りました」
「そそそそうか、」

声が上擦り動揺していると新八が笑った。
銀八のトレーナーを一枚身につけ、トレーナーからすらりと伸びる白い脚。大きすぎるのかダボダボユルユルでなんとも可愛らしいが、エロい。お泊まりにきた恋人にさせたい格好。男のロマンとでも言っていいだろう。

「…どうかしたんですか?」
「へ?」
「携帯、」

携帯電話を握りしめていたことを思いだし、再び視線を戻す。

「いや、メールがよ…、」
「メール?」

ベッドに乗り銀八に近寄り画面を覗き見た瞬間、甘い匂いが鼻腔を擽った。くらりと目眩が起こる。あぁ、やばい。

「おいで、」

手を引き横に寝るよう催促をすると布団を捲りぴたりと甘えるように体をくっつけてきた。温かい体を抱き寄せしっとりと濡れた髪に鼻先を埋める。
赤い唇を食むように啄み柔らかい舌を捕まえて吸い尽くと互いの舌が蕩けて一つになるよう。漏れる吐息に濡れた音が一層煽っていく。下唇を甘く噛んで離すと息を切らし頬を赤く染める新八にごくり、喉が鳴った。

「…せんせ、」
「あぁー参った。我慢できねぇ」

手に持つ携帯電話を銀八は枕元に放り投げ、新八に覆い被さった。








「お風呂、また入らなきゃ」
「おぉー次は一緒入んぞ」
「イヤですよ。先生と入ったら大変だもん。…って、そうだ!先生ケータイ」

最中に何回かブルブルと震えたがそれどころではなく放置し続けた携帯電話。思い出してぱくり開いて画面に映し出されたメール受信の数に銀八と新八は驚いた。
かちかち、と受信BOXを開くとずらりと並ぶ3Z生徒の名前。

「え、すごい」
「…なんだよ、イタズラか?」

かちり、一人目のメールを開く。そして、二人目、三人目…。
殆どのメールを読み上げ銀八はくくく、声を上げ笑った。

「…よく知ってたなぁコイツら」
「先生嬉しそうですね」
「あぁ〜そうか?つーか、お前から聞いてないんですけど。先生泣いちゃう」
「ちが、ほんとは日付変わった瞬間に言う予定だったんです!それなのに…先生が言わせてくれなかった。さっきだって、」

恥ずかしそうに頬を赤く染める新八に銀八はにやりと笑う。

「悪かったなぁ。だってよーお前が可愛いから先生抑えきれねぇんだよ」

優しく抱き寄せると大人しく受け入れ背中に腕を回す。肌と肌が重なる安心感に瞼を閉じた時、顔に影が落ちてきた。
不思議に思い瞼を上げると新八が覗き込みはにかんだ。

「誕生日、おめでとうございます」

大好きですよ、と小さく囁いて口付けた新八に銀八は蕩けた笑顔を見せた。




081010
3Zでおめでと!





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