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夜に揺らめいて









いつの日だったか、情事後の相手へのケアも大事だと銀時が熱弁していたことを思い出す。その銀時とは先程まで溶け合うように愛し合っていた。
しかし、終わると同時に

「眠ぃ」

一言ぽつりと放ち眠りについてしまった。



隣で気持ちよさそうに眠る銀時に少々苛立ちを覚える。悪戯に鼻をつまんでみれば、ぴくりと反応した後、口を開けて呼吸した。
銀時が眠ると少々のことでは起きない。それを承知の新八は更に悪戯心が湧き上がり口端を上げた。

逞しい胸板からお臍にかけて擽るように指先を滑らせる。鍛え上げられた筋肉に、滑らかな肌。ゆっくりと擽っていると、先程の行為を思い出して体が疼いてしまった。慌てて手を離し、下唇を噛み締める。

「…ぎんさん」

再び熱が宿り始めたことに戸惑い名前を呼ぶと、返事ではなく鼾が返ってきた。

「なんか、ムカつく」

こうなったら起こしてやろうじゃないか。
勝手に闘志が燃え上がり徐に腹に跨る。ぺたりと肌が密着するのは恥ずかしいけれど。

「銀さん、起きて」

腰を浮かし前屈みに倒れ、銀時の首筋に舌を這わす。そして、軽く吸い付くと銀時が甘く息を吐いた。

「起き…ないか、」

始めたばかりだというのに、もう諦めたくなってきた。
しかし、男に二言はない。新八は気合いを入れ直し、銀時に向き直った。そして、銀時のカサついた唇に舌を這わし艶を与える。開いた口の中に舌を差し込むと柔らかな舌に頭の中が蕩けてしまう。舌を絡めながら、おずおずと腕を下へと下ろしていき、銀時の一番敏感なところを触る。すると、少し硬さを増していて驚き唇と手を離した瞬間、ぱちりと視線が重なった。

「ななななな、い、いいつから、起きて…」
「腹触ってる時から」

含み笑いをしながら話す銀時の言葉に愕然とした。そんな前から起きていたなんて。恥ずかしくて穴があったら入りたいとは正にこの時に使う言葉だろう。

「続けて新八、」

頭を抱えて唸れば耳元で甘く囁き、太股を悪戯な手のひらが擦り始めた。ぞわぞわと肌が粟立ち快感に繋がる。小さく息を漏らすと、銀時がにやりといやらしい笑みを浮かべた。途端に、羞恥心が溢れ出し急いで体を離す。そして、背中を向け銀時の布団を取り上げ、赤くなった体を隠すように頭からがばりと被った。

「しん、」
「ぼく、寝ます」
「え!ちょ、」
「おやすみなさいっ」

体を縮こませて瞼を力一杯瞑る。先程までの行動を思い返すと恥ずかしくて堪らない。小さく溜め息を零した瞬間、背中を撫でられる感触がした。

「新八」
「…、」
「……銀さん嬉しかったんだけどなぁ、」
「……」

無言を貫けば困ったのか銀時が、はぁと溜め息を吐いた。このまま寝て朝にならないだろうか。そう思った時、ずしりと体に重みがのし掛かってきた。背中に銀時の鼓動が響く。

「俺が悪かった。この前、あんなこと言っといて新八置いて先に寝るなんて馬鹿だなぁ、…なァ?」
「…、」
「……あぁ〜、後。さっきのは、起きたら勿体ねぇと思って寝た振りしてました。悪かった。だから、その……悪ぃ、」

申し訳なさそうに謝る銀時に、つい吹き出して笑ってしまった。
おずおずと頭を布団から出して銀時を見遣れば、絡みつく視線に肩の力を抜く。近付く銀時に瞼を閉じると唇が重なり、背中を優しく愛撫される。
自分勝手にするキスよりもやはり気持ちがよくて。全身の力が抜け銀時に体を預けた瞬間、視界が回転した。慌てて瞬きを繰り返すと、覗き込んでくる銀時がにやんと笑った。

「今日は寝かせねぇわ」

先程まで寝ていた銀時に言われるとなんだか可笑しく感じてしまう。くすくすと笑うと、色を増した瞳に見つめられ胸が高鳴る。これから愛されることを思うと全て許してしまう自分がいる。

再び重なった唇に愛しさが溢れ、ゆっくりと瞼を閉じた。







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